2015年12月に気候変動問題に関する国際合意のパリ協定が結ばれてから早2年。アメリカの脱退は大きなニュースとなった。世界全体のCO2排出量の15%を占めていたアメリカは、以前から気温上昇や海水面上昇、異常気象に取り組む途上国に対して資金や技術を積極的に提供してきたが、そのアメリカが欠けた今、パリ協定の目標達成は難しいという声もある。
そんな中、テクノロジーを活用して気候変動問題を解決しようと動いているのが、世界193か国が加盟する国連だ。国連は、気候変動対策としてのブロックチェーン技術の活用事例を調査する新たなグループ「Climate Chain Coalition(以下CCC)」を立ち上げた。
CCCはブロックチェーンを使い、気候変動に影響を与えうる要素を集め、データ検証とレポート作成の精度を高めることを目的としている。たとえば産業部門から排出される温室効果ガスなど、気候変動にとって重要な情報が世界中から更新され続け、データがオープンな方法で共有されるのだ。
ブロックチェーンと気候変動。一見すると関連性がないように思えるかもしれない。しかし、国連が発表した記事によると、ブロックチェーンならではの高い透明性と信頼性を生かし、さまざまな気候変動対策への応用が期待されているという。
たとえば炭素排出権取引の自動化や、P2P(ピアツーピア)のクリーンエネルギー取引プラットフォームの開発などだ。ほかにも温室効果ガス排出量と削減量を追跡し、カーボンクレジットの二重計上問題を解決する。これは、パリ協定の下でそれぞれの国家が行う貢献「NDC(Nationally Determined Contribution)」の実施における進捗状況と目標を監視するツールとして活用できるだろう。
今回発足されたCCCは現在32名のメンバーがおり、今後は気候変動に対するデータ収集と管理、メンバー間の協力促進、気候変動防止に活かせるテクノロジーの向上などを目指している。
ブロックチェーンを通じて気候変動に関する正確な情報が場所を選ぶことなく簡単に得られることは、さらなる研究の発展につながるだろう。気候変動は早急に取り組むべき課題であり、世界各国が積極的に調査や活動を行い、共に協力しあう姿勢が必要である。インターネットやブロックチェーンなど技術が進んだ現代だからこそできる気候変動の対策プラットフォームの、今後の取り組みに注目したい。
【参照サイト】UN Supports Blockchain Technology for Climate Action
【参照サイト】How Blockchain Technology Could Boost Climate Action