最新のテクノロジーを駆使した豪華な空の旅が生まれている。4月19日、アラブ首長国連邦の航空会社であるエミレーツ航空が、ファーストクラスに導入される新しい機能やサービスに関するプレスリリースを発表した。
プレスリリースによると、ボーイング 777-300ERの機内にはNASAの影響を受けたという無重力シートや光ファイバーの技術を用いたバーチャルウィンドウが、世界で初めて登場するという。機内のデザインはメルセデス・ベンツの影響を受けており、ファーストクラスの名にふさわしいラグジュアリーな空間が生まれている。
さらに最新のテクノロジーを取り入れることで、環境にも良い影響を与えると考えられている。バーチャルウィンドウでは乗客が通常の窓をとおして直接外を見る代わりに、機内に投影された映像をとおして外の様子を知ることになる。同社の社長を務めるSir Tim Clark氏は、通常の窓をなくすことで機体の構造的な弱点を取り除き、機体が軽くなるぶん使う燃料を大きく減らせるとBBCニュースに語った。
同氏は、ゆくゆくはバーチャルウィンドウをファーストクラスだけでなく機体全体に導入することを目指しているそうだ。より速く高く飛べ、燃料を減らした環境に優しい設計になる点がメリットだと考えられている。
その一方、BBCニュースではこの設計に対する懸念点が挙げられている。非常時にキャビンアテンダントが外を見る必要があるため、バーチャルウィンドウでは安全面での課題があるのではないかという疑問がそのひとつだ。もっとも欧州航空安全機関(EASA)は、バーチャルウィンドウでも通常の窓が付いた機体と同程度の安全性を確保することは可能だとみている。
技術上は可能だとしても、気になるのはバーチャルウィンドウが乗客に与える心理的影響だ。ただでさえ長い空の旅を閉じた空間で過ごしているところに、窓すらもなくなり映像に切り替わるのでは安らかに過ごせるか心配だ。閉塞感に押しつぶされないだろうか。
機体の構造面からみると、通常の窓がなくなることで堅牢な作りになる。機体が軽くなれば燃費も良くなるだろう。ただ新しい設計であるため、人の体がバーチャルウィンドウに馴染むかどうかは予想がつかない。従来の窓とバーチャルウィンドウ、あなたはどちらの飛行機に乗りたいだろうか。
【参照サイト】Emirates looks to windowless planes
【参照サイト】Emirates to debut its new fully enclosed First Class Private Suite for the first time at ATM
(※画像提供:Emirates)