「サステナブル」は語るものではなく実践するもの。まずは「暮らし」から変えませんか?

Browse By

数年の間で「サステナブル」「エシカル」というような、エコを連想させる言葉をSNSなどでも目にする回数が増えた。

その一方で、言葉だけが先走っているかのように感じることもある。

日本では、環境先進国である欧州諸国と比べると、環境問題を意識しながらも実際に何か行動に移すという人は、まだまだ少ないのが現状だ。このままでは、行動する人ではなく、「語る人」だけが、増えていく。

そんな日本の現状を打破し、快適なサステナブル社会の実現に向けてユニークなアイデアで取り組んでいる企業がある。北欧・ドイツそして日本から、環境に配慮した日用品を販売するショップ「ecomfort(エコンフォート)」を運営しているE.OCT株式会社(イーオクト)だ。

今日も、100年後も、生活をしあわせにするモノを

イーオクトは“ひとりひとりの暮らしから、快適なサステナブル社会をつくる”をミッションに、「デザイン」「ファンクション」「サステナブル」の3つのキーワードのもと製品の輸入・卸・販売を手がけている。

そして、その商品の背景やコンセプトを多くの人に知らせていくための売り場提案の場であるecomfortが東京、表参道にある。店内には、北欧の可愛らしいデザインの日用品が並んでおり、選ぶ人の心をワクワクさせる。

ecomfort内観

どうしてもどこかの遠い国の問題として考えてしまいがちな環境問題。それを人々の身近にし、“自分ごと化”するための方法として、イーオクトは人々の「暮らし」へ焦点を絞っている。ひとりひとりが暮らしの道具を変えることが、社会を変える大きなきっかけになるということを、商品を通して呼びかけているのだ。

きっかけは「かわいいから欲しい」で、いい。

例えば、いつも使う台所用品の購入基準はなんだろうか。「デザインが可愛い」「使いやすい」。果たして、「環境に優しい」という基準で購入を選択する人は、どの程度いるのだろうか。

少しずつ変化してきてはいるものの、日本ではただ環境にいいという理由だけで商品を選ぶ消費者はまだまだ限られている。だからこそ、イーオクトでは環境問題にあまり興味がない人にも自社の商品を手にとってもらえるよう、「デザイン」と「ファンクション」にこだわっているのだ。

ここで、商品の一部を紹介しよう。どれも手にとってみたくなるような、ユニークな商品ばかりだ。

e.スポンジワイプ

1949年にスウェーデンで開発された、北欧ではもはや定番のセルロースが主原料のフキン。セルロースとは木の端材から取り出した繊維素。使い終われば100%生分解する天然素材で、地球に優しい。おしぼりやランチョンマットとしても使用でき、生活のあらゆる場面で活躍してくれる。日本のデザイナーが手がけたものもあり、可愛らしいデザインが目を引く。

e.スポンジワイプ。濡らして使い、お手入れもラクラク。

e.スポンジワイプ。ランチョンマットとしても使える。

e.ポップアップスポンジ

家庭で使う台フキンやスポンジ。大切なのはなんといっても吸水力、速乾力、しぼりやすさ。特に速乾力がバツグンのため、菌の増殖をおさえ、臭くなりにくい。さらに泡持ちが良く、油にも強いので食器洗いの他にもガスコンロやレンジ周りにも使うことができる。

e.ポップアップスポンジ。選ぶのが楽しくなる可愛らしいデザイン。

e.ポップアップスポンジ。レンジ周りのお手入れにも使える。

MQ・Duotex(クロス&モップ)

ほんの少しの水だけで、菌も汚れもかき取るマイクロファイバークロスを使ったお掃除用品。洗剤を使わないから、小さい子がいる家庭でも安心だ。また、清潔さが肝心な大手カラオケ店や飲食店などでも利用されている。いくつもの掃除用具を試した結果、「機能」を重視したうえでMQ・Duotexが採用され、多くの企業に長い間使われているという。

MQ・Duotexニットクロス。水だけで油分もサッときれいになる。

MQモップ。これ1本で家中どこでもお掃除ができる。

一番大事なことは、「毎日の暮らしを変えること」

「スウェーデンにゴミが小さくなる機械がある」という話に興味を持った。それが、イーオクト代表の髙橋さんが環境に関する事業を開始した始まりだった。かさばる家庭用ごみの処理に困っていた髙橋さんは、ゴミ袋10個が1個分の量になるゴミ圧縮機を目の前にして、大きな可能性を感じたという。

そこから髙橋さんがリサイクル環境機器の販売に携わっていく中で感じたのは、大半の人々が、環境問題に対して企業の環境対策イメージやコストダウンなどの「義務感」で取り組んでいるということだった。

「当時からホッキョクグマが影響を受けている話などはよくメディアに出ていましたが、やはり地球の果ての問題を聞いても、普通の人はピンとこないんです。その状況を受けて、みんなに環境問題を意識してもらうためには、“暮らし”というものに立脚していかなければならないと、感じました。」

また、環境シンポジウムなどで、参加者がいかにも立派なことを話す一方で、身に付けるモノや生活は一切変化させていない。そんな状況を当時、身近で見ていた髙橋さんは衝撃を受けた。

「環境問題を語る人の家がテレビで映し出されたときに、家の中にはケミカルでいっぱいの日用品が平気で並べてあったりするんです。」

口では立派なことを言っているが、行動に移していない。そんなことよりも日本にある5400万世帯の家庭で使われている石油素材のスポンジを、自然素材のモノに変えるほうがよっぽど世界は良い方向へと変わっていく。そう、髙橋さんは考えた。

デザインがもたらすモノへの愛着が、エコへつながる。

その後髙橋さんは、2000年にリビングセンターOZONEで開催された「サステナブルデザイン展」プロダクトゾーンのコーディネーション依頼を受けた。それが今のイーオクトのベースになっている。

このとき、サステナブルデザインについて考察を行い、「デザイン性」「ロングライフ」「素材へのこだわり」「環境へのやさしさ」「省資源・省エネ」という基準から世界中のサステナブルデザインを集め、高い評価を得た。

イーオクトで特にデザインを重視しているのは、消費者にサステナブルな製品を手に取ってもらうきっかけを作るためだけではない。デザインが素敵だと人はその商品に愛着がわき、より大切に使おうという気持ちから結果としてロングユースに繋がっていく。つまり、優れたデザインであること自体がサステナブルな消費を促すのだ。

直接的に伝えていかなければ、もう間に合わない。

「デザインがきれいとか、機能が素敵という感覚で買ってもらえれば、それだけで一歩前進で、それでいいと長く思っていた。」と、髙橋さんは語る。

しかし、環境先進国のスウェーデンやドイツと比べてしまうと、まだまだ環境への取り組みが進まない日本の現状を前にして、髙橋さんの考えも変わりつつある。

もっとひとりひとりが、変わらなければならない。今まではやんわりとした言葉で消費者に問いかけてきたが、今後はストレートな言葉で問いかけていく。商品タグに添える言葉も、少しずつ変えていくという。

また、消費者だけでなく販売側にも、まずはイーオクトがやっている意味を伝えなければいけない。そこで昨年度からecomfortに訪れるバイヤーには、環境に対するイーオクトの考えを、直接言葉で伝えることを本格的に始めている。消費者だけでなく、販売の方にも理解してもらうことで、売り場でもパネルを準備してもらえたり、サステナブルに関するフェアを開催してもらえることが増えたという。

「今日の買い物が未来を変える。」

今回新たにリニューアルされたecomfort店内に、大きく掲げられたこの言葉。私たちひとりひとりには、環境を守るべき義務があると同時に、日々の買い物を通じて環境を良くしていく力もあるのだ。

誰かが伝えないといけない。たとえ直接の問題解決までに繋がらなかったとしても、そこに気づく人が増えて欲しい。それこそが、イーオクトが身近な日用品を通じて人々へ語りかける理由となるのだ。

イーオクト代表の髙橋さん。

編集後記

今までは、筆者自身も「サステナブル」や「エコ」などの言葉に高いハードルを感じてしまう一人だった。しかし今回、イーオクトで働く方々とのお話が「本当のサステナブルとは何か」について考えるきっかけとなった。

そしてその中で、自分が何をすべきかの方向性に気づくことができた。大きいことをせずとも、身近なところを変えることこそが重要なのだ。イーオクトの商品は、環境問題に歩み寄りたいけれどどうすればいいかわからないという私たちを正しい方向へ導いてくれるものであると感じた。

こうした未来へと繋がる素敵なアイデアがどんどん世の中に広がっていけば、環境問題をより身近なこととして考えられる人も増えていくはずだ。今後はもっと環境を良くする輪を広げていきたいと笑顔で語ってくださったイーオクトのみなさん。イベントなども積極的に行い、誰かの“気づき”のきっかけをさらに増やしていくということで、今からとても楽しみである。

【参照サイト】E.OCTイーオクト株式会社