環境先進国として知られる北欧デンマーク。以前IDEAS FOR GOODでは、デンマークが2017年、国全体の消費電力の43,6%を風力発電でまかなったニュースを紹介した。同国は2050年までに、化石燃料から完全に脱却することを目指しているという。
そんなデンマークが、目標に向けてまた一歩踏み出した。「デンマークにおいて、ガソリン車・ディーゼル車は過去のものにならなければなりません。未来はグリーンなのです。」国会での演説でこう述べたラスムセン首相は、気候変動対策のため2030年から国内でのガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止する方針を発表。
さらに2035年からはハイブリッド車の販売も段階的に禁止し、これから100万台の電気自動車が走行する国を目指すという。
しかし実はここ数年、デンマークでの電気自動車の販売数は減少している。原因は、政府が電気自動車に対して行っていた税金の優遇措置を廃止したことにある。これを受けて、2015年には4762台だった電気自動車の販売数は、2016年には1438台に、2017年には913台にまで減少してしまった。政府は電気自動車の販売促進のため、この優遇税制を復活させることも検討しているようだ。
「これは大きな野望であり、達成するのは難しいかもしれません。しかし、だからこそやらねばならないのです。」ラスムセン首相はこの計画についてこうも述べ、環境問題に全力で取り組む決意を示している。これからデンマーク国内では、充電スタンドなどのインフラを整備していく必要もありそうだ。
このような自動車に対する取り組みは各国で広がりつつある。イギリスとフランスは、デンマークの目標の10年後、2040年からガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止する事を宣言。また、パリ、マドリード、メキシコシティ、アテネは2025年までに市内でのディーゼル車の走行を禁止することを決定している。
さらに、スウェーデンの大手自動車メーカー、ボルボは、2019年以降に同社が製造するすべての自動車は電気自動車またはハイブリッド車にすると発表した。
日本政府も最近、2050年までに、世界で販売する日本車を100%電気自動車化する方針を打ち出したばかりだ。デンマークを見習いつつ、わたしたちに何ができるのか考えていかねばならない時期に来ているだろう。
【参照サイト】Denmark embraces electric car revolution with petrol and diesel ban plan
【参照サイト】世界で供給する日本車、2050年までに電動車100% 経産省有識者会議
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