米投資銀行大手のゴールドマンサックスが、女性起業家を応援するオンライン教育プログラム「10,000 women」を始めた。
男女の経済活動の平等のため、世界中ではさまざまな取り組みが行われているが、いまだ性差による不平等は存在する。起業家の世界においても同様だ。会計コンサルティングのEYジャパンによる、日本を含む21カ国の2766社への調査によると、女性起業家の52%が「資金調達ができていない」と回答した一方で、男性起業家は30%にとどまった。経営上の最大の障害として、資金調達を挙げる女性起業家は17%いる。
10,000 womenは、女性起業家が力を発揮し活躍できる機会を増やすために、オンラインでのビジネス教育や資本へのアクセスを無償で提供するというもの。世界最大のオンライン教育プラットフォームであるCourseraが協賛した。「公正で包括的な未来を創造するには、女性起業家を支援が大切なのです」とCourseraのエンタープライズ開発担当であるリア氏は述べている。
2008年から始まったこのプログラム。これまでに56カ国以上から数千人の女性が受講している。プログラムの参加条件は、新興経済国で3人以上の従業員と共に働き、年収が5万ドル以上の女性起業家であることだ。
アントレナーシップ教育で高い評価を得ているアメリカのバブソン大学からも学習サポートを受ける10,000 womenでは、入門コース、そしてフルコースの2つのプログラムが用意されている。2週間の入門コースでは、参加者が事業の強みと弱みを客観的に評価するなど、事業の将来性を見直す。
入門コース後に取り組む10週間のフルコースでは、資金調達の方法や競争戦略、オペレーションなど、会社を運営する上で欠かせないことについて改めて学ぶことができる。コースが終わるまでには、学びを通じてオリジナルの事業計画を完成させる。また、講義のディスカッションなどを通じて受講者同士が互いに意見を交換し、世界規模での起業家のつながりが生まれることもあるという。
ゴールドマンサックスは、女性起業家にとっての高いハードルとなっている資金調達へのサポートも行なっている。2014年に世界銀行の姉妹組織である国際金融公社と提携し、女性起業家向けの最初のグローバルファイナンス施設、女性起業家ファンド(WEOF)を創設した。2018年5月には当初の目標である6億ドルを上回る10億ドルを集め、中小企業に資本を提供している。
10,000 womenのプログラム終了から18カ月で、なんと調査対象の卒業生の70%近くが収入を増やし、60%近くが新しい雇用を生み出したそうだ。
今までの長い歴史の中で、事業を成功に導いた多くの起業家が男性だ。しかしその事実は、女性に起業や会社運営の能力がないということにはつながらない。性別によって自分の夢や理想の社会を実現できないのはおかしいと声を挙げられるこの時代を生きるあなたに、10,000 womenのような心強いサポーターがいることを伝えたい。
【参照サイト】GOLDMAN SACHS 10,000 WOMEN
【参照サイト】GOLDMAN SACHS 10,000 WOMEN LAUNCHES ONLINE EDUCATION PARTNERSHIP WITH COURSERA
【参照サイト】Coursera 10,000 women