甘くておいしいスイーツの裏に隠された「甘くない」真実。食とアートで伝える社会課題

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食後につまむ、甘くておいしいスイーツ。心もおなかも満たしてくれるスイーツは、私たちの日常にささやかな彩りを添えてくれる。

コンビニに行けばありとあらゆる種類のスイーツが所狭しと肩を並べており、少しでも私たちの欲望を満たそうと、そのラインナップは毎週のように入れ替わっていく。

しかし、世界全体でみればそんな生活が決して当たり前ではないことに、もう少し私たちは自覚的であるべきかもしれない。

世界では日本の人口の6倍以上にあたる8億人もの人々が餓えに苦しんでいる一方で、生産された食料の約3分の1が毎年捨てられているのが現状だ。日本では1年間で食料消費全体の3割にあたる約2,800万トンもの食品が廃棄されており、一人あたりの食料廃棄率は世界一となっている。私たちは食料の大半を輸入に頼っていながら、その多くを廃棄するという生活を続けているのだ。

このような大量消費型のライフスタイルを維持するだけの資源を、当然ながら地球は持ち合わせていない。地球が生産可能な資源量をはるかに超える消費を私たちが続ける限り、地球への「借金」は増えていくばかりだ。

この危機的な状況を打破し、少しでも人々に地球の資源にまつわる課題をジブンゴト化してもらおうと、ユニークなプロジェクトが展開されている。

自然保護に取り組むNGOのWWFジャパンと、社会課題データを活用してアート作品の創作を行っている「CHART project®」は、スイーツをモチーフとして地球環境の今を伝えるコラボレーション作品を制作した。

人間の自然資源に対する需要と、地球が与えてくれる恵み、「エコロジカル・フットプリント」を紫芋のあんこや寒天などを使いあんみつで表現。

スイーツを制作したのは、家族全員が料理人という家庭で育ち、2年間のイタリア料理修行を経て「ものがたり食堂」を展開しているさわのめぐみさんだ。さわのさんは、人間の経済活動の中でも特に「食」に関わる活動が地球に与える負荷が大きいことから、現在の人間の消費活動が必要とする資源量が、地球が生産する資源量を上回っているという状況を、スイーツを用いて表現した。

盛り付けた様子。

自然資源の生産量以上に人間の消費量がどんどん増えていく様子が、紫芋のあんこや寒天、あんみつなどを使って上手に表現されている。

さわのさんは、今回の作品制作にあたり「私たち人間が地球にどれだけ依存しているかを伝えるため、作品でも依存性の高い『甘いもの』で表現しました。地球一個分の暮らしをすることは決して簡単なことではありません。一人一人がほんの少し意識する事が大切だと思います。『地球を咀嚼する』というコンセプトで制作したCHART作品を通して、現実を受け止め、噛み締め、味わい、地球一個分の暮らしを考えられるきっかけになればと思いを込めました。」と語る。

ものがたり食堂 さわのめぐみさん

このスイーツを食べながら決して「甘くない」地球の現実を一人一人が噛みしめることで、毎日の意識や行動を変えていってほしい。それがスイーツの裏に隠されたメッセージなのだ。

この作品は、2018年11月18日まで東京・渋谷区にある「タンバリンギャラリー」で展示されている。スイーツを楽しみつつ地球の未来について考えてみたいという方は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか?

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