ドイツのE-モビリティ(エレクトロモビリティ)のためのオープンソースプラットフォーム、「UZEモビリティ(以下、UZE)」は、2018年12月から、ドイツのラインラント=プファルツ州で電気自動車のバンを企業向けに無料で貸し出すサービスを開始する。
なぜ無料で貸し出すことができるのだろうか。その理由の一つはバンの両側に設置された電子看板。走行しているあいだはここに借りる企業の広告を表示させ、得た収益と引き換えにバンを貸し出せるというわけだ。
広告を出したい企業は、UZEの公式サイトから申込みができる。広告として表示するデータを登録すれば、わずか3クリックでバンに表示されるようセッティングされる。この手軽さもUZEのウリだ。
広告を表示する場所や時間帯は指定できるため、絞り込んだターゲットに効果的に情報を伝えることができ、無駄がない。プラットフォーム上で行われたすべてのトランザクションも、ブロックチェーン技術を用いてすべてリアルタイムに記録される。
UZEではこの広告収入以外にも、バンが街を走行することによって収集できるデータの販売を検討している。たとえば、道路の凹みや渋滞などの情報の購入については、自治体が関心を示しているそうだ。
UZEは、2025年までにCO2排出ゼロ都市をつくるというビジョンを掲げている。電気自動車のバンの無料貸し出しはその先駆けで、今後、同様のサービスをその他の車にも拡大していきたいと考えている。
ドイツでは、連邦議会が2030年までにガソリン車の販売を禁止する決議案を採択するなど、脱ガソリンの流れが急速に進んでいる。UZEのサービスは、このような政策があったからこそ生まれてきた新しいビジネスと言えるだろう。脱ガソリン政策はまだ始まったばかり。今後どのような事業やアイデアが出てくるのか、期待が高まる。
【参照サイト】UZE Mobility