ドイツ、2038年までに石炭火力発電所を廃止か。パリ協定の目標達成に向けた大きな一歩

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環境先進国と言われるドイツ。自動車に代表される工業や貿易などさまざまな産業が発展し、8,000万人以上の人々が暮らすこの国では、旺盛な需要をまかなうために、実は電力の40%近くを石炭火力発電に依存している。この数字は、西ヨーロッパ主要国でも突出しており、英国が5%だという状況と比較すると明らかに高い。英国は2025年までに石炭火力発電を廃止する方向で、ドイツでも議論が続けられてきた。

そしてこのほど、ドイツ政府の諮問委員会は、炭素排出量の削減を目的として、2038年までに国内すべての石炭火力発電所を廃止することに合意した。政府や州政府による正式決定がされれば、まずは段階的な廃止が行われる。そして2032年に一旦見直し作業を行い、早ければ2035年に実現する可能性もあるという。

多くの火力発電所をかかえる電力会社RWEは、廃止時期が「早すぎる」と反対。同社は2032年の見直しの際に、廃止の延期を目指す構えも見せており、火種は依然くすぶっている。一方、首都ベルリンでは、石炭による火力発電を廃止し、気候変動への対策を求める抗議行動も起こっており、次世代を担う熱心な生徒、学生等も多く参加している。

ベルリンに集まる人々

Image via Victoria Kure-Wu

調査によると、ドイツ国民の約4分の3が、石炭の使用を早期に止めることが重要だと考えているそうだ。しかし、業績に影響が出かねない電力会社等の産業界からの反発も根強い。

産業界には、発電所の全廃のために約400億ユーロが補償金として与えられる予定だが、業界は600億ユーロを要求している。ドイツ政府でエネルギー関連を担当するトーマス・バーガス氏は「石炭の廃止は必須だが、移行には大きな費用が伴う。」と述べる。

ドイツ国内の対立構図はあるものの、一つの見通しが立ったことについて、120以上の市民団体から成る Climate Alliance Germanyネットワークで石炭に詳しいステファニー・ランカンプ氏は、「石炭火力発電が廃止され新たな進展があるのは素晴らしいことです。」と喜びの声を上げる。

メルケル首相は、2022年までに原子力発電所もすべて閉鎖し、2030年までに再生可能エネルギーを現在の38%から65%にすることを目指している。

ヨーロッパのなかでも主要な石炭消費国であったドイツが、脱石炭火力について進みだしたことは大きい。先進国では集塵装置等の設備により大気を極力、汚染しないように配慮がなされているものの、CO2など温室効果ガスの排出量が極めて多いのだ。今回の決定は、気候変動への対応に関する国際的な取り決め「パリ協定」の目標達成に向けての効果が期待できる。

今後、ますます日常生活から石炭がなくなり、かつてモクモクと煙を出していた蒸気機関車(SL)と共に博物館で目にする珍しいものになる日も、着実に近づいている。

【参照サイト】Germany agrees to end reliance on coal stations by 2038
【参照サイト】Germany to phase out coal by 2038 in move away from fossil fuels