世界初となる“ヴィーガンなスイートルーム”が、イギリスの首都ロンドンにあるHilton London Banksideに誕生した。部屋のカードキーやリネン、床、文房具、掃除用具にいたるまで、植物ベースの素材でできたものを提供する。
ヴィーガンは、動物愛護の観点や体質的な理由から、卵や乳製品を含む動物性食品を口にしない完全菜食主義者のことであり、欧米を中心に広がりを見せている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)による2015年の英国ベジタリアン食品調査レポートによると、イギリスではヴィーガンやベジタリアン人口が増加傾向にあり、「ミートフリーな生活の方が、肉食よりも環境にやさしい」と考える人の割合が 48%、また、別の48%が「家畜の保護はとても重要」、さらに70%は、「狭いケージの中で飼育された養鶏から採れた卵より、フリーレンジ(放し飼いで育てられた養鶏)の卵を頻繁に購入する」と回答しているという。昨年はイギリスの電力会社Ecotricityが、世界初となるヴィーガンな電力供給を開始した。
そして今回、ホテルの世界的大手ヒルトングループが、イギリスのクリエイティブスタジオBompas&Parr社と共同で誕生させたのがヴィーガンなスイートルームだったのだ。
カードキーやデスクチェア、そしてクッションはパイナップルの葉の繊維を使ったピニャテックスレザーを使用。枕には羽毛ではなく、環境に低負担でアレルギー物質も含まない抗菌素材が使われている。床は100%再生可能な竹でつくられ、オーガニックコットンのカーペットが敷かれた。
ミニバーには地元でつくられたヴィーガンスナックが用意されており、ルームサービスでも、ヴィーガン100%のさまざまな食事が楽しめるようになっている。
シャンプーやコンディショナーは高麗人参の成分、シャワーキャップやネイルキットなどはリサイクル包装でできている。そして、ホテルの清掃には動物実験を行っておらず水も汚染しない洗剤を含む清掃用品が使われるという徹底ぶりだ。
このヴィーガンスイートは1人1泊約11万円からで、すでに予約が可能だ。あなたもぜひ、今度のロンドン滞在でヴィーガンを体験してみてはいかがだろうか。新たな旅の選択肢が、また増えていく。
【参照サイト】The World’s First ‘Vegan Suite’ Welcomes Guests at Hilton London Bankside
【参照ページ】英国ベジタリアン食品調査