【SB2019Tokyoレポ#1】「未来へのビジョンを持つ」グッドライフを実現するために私たち消費者はどう変わるべきか

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2019年3月6日、7日の2日間にわたり開催された 『サステナブル・ブランド国際会議2019東京』。

1日目に行われた「消費者のグッドライフをどう実現するか」のセッションでは、企業視点で小売・流通販売から3名、消費者視点で1名の計4名のパネリストが登壇した。

いま、企業は私たち消費者にどのような問いかけをしているのだろうか。そして私たち消費者はそのメッセージをどう受け取るべきなのか。今回はセッションの中から特に印象に残った部分を紹介したい。

<セッション登壇者>
  • Facilitator:カルビー株式会社 社会貢献委員長 二宮 かおる氏
  • Panelist:楽天株式会社 眞々部 貴之氏
  • Panelist:日本消費生活アドバイザー 岩木 啓子氏
  • Panelist:日本生活協同組合 二村 睦子氏
  • Panelist:イオン株式会社 三宅 春氏

企業が目指すカタチ「サステナブルな買い物があたりまえの世界に」

「10回に1回でもいいんです。無意識にしている買い物がサステナブルであって欲しい。」

そう話すのは、楽天株式会社で「未来を変える買い物を。」をコンセプトに、社会や環境に配慮されたサステナブルな商品だけを取り扱うECモール「EARTH MALL with Rakuten」の立ち上げに関わった眞々部氏。(インタビュー記事:大事なのは楽しむこと。EARTH MALL with Rakutenが考える、サステナブルな買い物のはじめかた

「僕が今着ているこの楽天のパーカーも、会社で『可愛い』と話しかけられます(笑)そう言われると、『実はこれはオーガニックコットンなんです!』という話ができますよね。ただサステナブルだけではダメなんです。いいと思って選んだものが結果的にサステナブルだった。それを、企業がつくらなければいけません。」

登壇者ら。左から日本消費生活アドバイザー岩木氏、日本生活協同組合ニ村氏、イオン株式会社の三宅氏、楽天株式会社の眞々部氏、カルビー株式会社の二宮氏

イオン株式会社の三宅氏も、「環境にやさしいだけではダメだと思っています。いかに美味しく手間がかからず作れるか。そして同時に消費者が購入しやすい価格も維持する必要があります。」と話す。

同社は、レシートの合計金額1%と同額の品物を選んだ団体に寄付することができる「イオン幸せの黄色いレシート」や、安心・安全で環境に配慮したフィッシュマーク認証がついた魚を食卓に届けるなど、社会や環境に対してさまざまな取り組みを行っている。

フィッシュマーク

イオンのフィッシュマーク Image via イオン株式会社公式HP

「今はフィッシュマークがあるけれど、なくなってしまうのが理想だと思っています。人権やフェアトレードについても大きな問題になっていますが、マークが付いていない商品はフェアトレードじゃないの!?と、モヤモヤしたこともあります。あるべき姿は、どれをとってもフェアトレード商品であることです。」(三宅氏)

賢い消費者であれ。企業だけではなく消費者も変わるべき

環境やサステナブルという視点で消費者教育に関わったり、消費者がサステナビリティを意識した行動ができるようにするための調査や働きかけをしているサステナブル日本消費生活アドバイザーの岩木氏は、「サステナブルな社会にしようという目標がある中で企業は今、さまざまな取り組みをしている。消費者自身も変わる必要がある。」と話す。

そもそも、せっかくサステナブルやエシカルな価値を盛り込んだ商品や企業から提供されたとしても、それに価値があることを知らないことには消費者は行動を起こすことができない。

「自分たちの消費行動が社会のありようを変えていく」という主体性を持つ、自立した消費者であることが大切だと岩木氏は強調した。

岩木氏

「時間は未来から過去に流れている」未来を変えるのは今日のあなた

時間は過去から未来に流れていると考えているかもしれないですけれど、実は時間は未来から過去に流れているんです

ファシリテーターの二宮氏が紹介した小説家の吉本ばななさんの言葉だ。

「こんな未来だったら良いね、というビジョンがあって、私たちはそれに向けて何ができるか考えていくことが大切です。」(二宮氏)

というのも、吉本ばななさんは物心ついて小説家になろうと思ったときに、その当時からすでに自身の本が翻訳されて世界中の人に読まれるというビジョンがあったという。そのビジョンをずっと持っていたので、翻訳をするために文体にもこだわりを持ってずっと小説を書いていたようだ。そして今、彼女の本は翻訳されて世界中の人に読まれている。つまり、未来のビジョンを明確にすることで、私たちが今やるべきことは決まってくるのだ。

日本生活協同組合の二村氏は、これに強く共感した。今の自分が未来の社会を変えるという自己効力感を持つことが大事だという。

「90年代のはじめ頃の国立環境研究所の発表では、“環境意識の高い人”と“社会の中で自分の意見が通る感覚を持つ人”の割合には相関関係があることがわかっています。」

「あとは大学生のアンケート結果で、自宅から通うよりも一人暮らしをしている生徒のほうが環境に関心があるといいます。一人暮らしをすることで、自分が生活の責任者になりますよね。要するに、“暮らしにどれだけ責任を持つか”なんです。今、男性も家事をする人が増えているのはいい傾向ですよね。こうして暮らしの責任者を増やすことが大切です。」

登壇者ら

編集後記

2日間に渡って行われた『サステナブル・ブランド国際会議2019東京』には、数多くの企業が参加した。どの企業もそれぞれにビジョンを持ち、少しずつ持続可能な社会への一歩を歩み始めている。

一方で、私たち消費者は、その歩みをただ待っているだけではいけない。本セッションで岩木氏が話したように、どんなに企業が努力したとしても、私たち消費者がその価値を理解していなければ企業の努力は持続可能であるとはいえないのだ。

そのためには私たち一人一人が、変わらなければいけない。企業も消費者も未来への同じビジョンを持ち、その未来につながる「今」をつくるためにお互いに協力していく必要があることを、忘れてはならない。

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