【SB2019Tokyoレポ#2】個から衆がつくる助け合いのカタチ。シェアエコがうむ、サステナブルな事業のあり方とは

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2019年3月6日、7日の2日間にわたり開催された 『サステナブル・ブランド国際会議2019東京』。

1日目の「利益を生み出すサステナブル・マーケティング〜シェアリングエコノミーに学ぶ社会性と経済性の両立〜」のセッションでは、社会全体の満足度を高めることと「利益」をつなげるためにはどうしたらいいかという議題を「シェア」の視点で、シェアリングエコノミーやクラウドファウンディングのサービスを立ち上げた創業者の3人が登壇した。

今回はセッションの中から、社会性を利益につなげるためのヒントをみていこう。

<セッション登壇者>
  • Facilitator:日本大学 水野 学氏
  • Panelist:Akippa株式会社 金谷 元気氏
  • Panelist:株式会社アグリメディア 諸藤 貴志氏
  • Panelist:Readyfor株式会社 米良 はるか氏

「与えるために稼ぐ」いいことをしたいからこそ、利益が必要

ファシリテーターの水野氏からまずはじめに登壇者に投げかけられた問いは、「なぜ、社会問題をボランティアではなくビジネスにしようとしたのか」。この問いに対して、日本初のクラウドファンディングサービスを行うReadyfor株式会社の米良氏はこう話す。

「世のお金の流れを変える必要があると思っています。創業したくてビジネスプランも覚悟もあるのに、担保ができないという理由でスタートできない人たちはたくさんいます。そういった人たちにお金を流さないといけないと考えたんです。」

「法人格がNPOだと大きな資金調達ができません。そこで大きな社会的流れを変化させるために、株式会社にすると決めました。」

Readyfor株式会社 米良氏

貸し農園事業をやっている株式会社アグリメディアの諸藤氏はこの問いに対し「利益を出しながらでしか、より大きなインパクトを出すことはできない。」と、話す。

「今の農業は、補助金を頼りにビジネスをしているので、補助金がなくなると持続できなくなってしまうんです。」

諸藤氏は「利益を出すことで良い人材が集まり好循環ができる」と、サステナブルに事業を行うためには利益が必要不可欠であることを強調した。

株式会社アグリメディア 諸藤氏

株式会社アグリメディア 諸藤氏

「個から衆」が予期せぬ新しい価値を生む

実際にビジネスの中で世の中の大きな流れが「個」から「衆」に変わってきている。「自分で所有して自分自身のお金で何かをすること」から、「みんなでまとまって何かをすること(コミュニティ)」に世の中が変化している。

コミュニティの大きな特徴は、予期しない何かがそこから生まれることだ。Akippa株式会社の金谷氏は、誰でも簡単に駐車場をシェアできる駐車場のシェアリングサービス事業を行う上で起こった、思いがけない出来事を話した。

「最初は、資産目的の70代〜80代のオーナーさんが多かったんです。しかし途中からみんな『お金じゃない』と口を揃えて言うようになりました。声を聞いてみると、『若い人と話せることが嬉しい』と言うんです。利用者がわざわざインターホンを押して挨拶に来てくれたり、お土産に果物を持ってきてくれることもある。オーナーさんたちは、思いがけず生まれる人との関わりに喜びを感じるようになったと言います。」

Akippaのサービスでは、駐車場のオーナーと利用者がスマホを使ってお互いのレビューができ、信頼を可視化できる。インターネットによって今まで薄れていたものが復活した例である。

Akippa株式会社 金本氏

Readyforの米良氏も、クラウドファウンディングサービスを通して、思いもよらぬ資金調達事例に出会ったという。

「途上国に学校をたてるというプロジェクトでクラウドファウンディングをしている大学生がいました。あるときその方が『計画中の学校と問題があり、プロジェクトが続けられないかもしれない』と、クラウドファウンディングページでコメントしたんです。そうしたら、そのプロジェクトの支援者の中に弁護士の方がいて『僕が交渉します』と、声をあげ、そこから支援者の中にいた専門家たちが次々とコメントをしてフォローし、さらに支援金額も増額したという面白いことが起こりました。」

これまでの資金調達は、できなかったことやうまくいかなかったことはなかなか周りに共有できず、どちらかというとうまくいっているように見せることに必死になったりで経営理念が薄くなってしまうこともあった。クラウドファウンディングだったからこそ今までの資金調達とは違い、コミュニティで助け合いながら資金を集めることができた例だ。

登壇者ら

編集後記

今回のセッションで強く感じたのは、「コミュニティの価値」である。コミュニティという概念により企業とユーザーが双方向に働くようになり、場合によっては企業とユーザー間だけではなく、ユーザー同士が協働し一緒に事業をつくり上げ、それがきっかけでサービスが広がっていく。Readyfor株式会社のクラウドファンディングプロジェクトで助け合いが起こったのはわかりやすい事例である。

これからはワンウェイではなく、コミュニティをつくることがサステナブルな事業をつくるうえで大切だといえる。セッションの中でも、ファシリテーターである日本大学の水野氏は「コミュニティの中では人のために何かをしようという原理が動く」という話をしていた。コミュニティの中であったからこそ生まれる思いやりもある。

要するに、インターネットの発達によりシェアリングエコノミーが活発化している中で生まれたのは「人とのつながり」だった。今後企業がサステナブルな事業を目指すにあたって「コミュニティ」はひとつの大きなキーワードになるだろう。