都市の孤独解消に。近所のコミュニティづくりを後押しする、オランダの「シェアするバルコニー」

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テクノロジーが発達し、誰もがSNSなどで簡単に人とつながることができるようになった今。都市に住んでいて、ふいに「孤独だ」と感じることはないだろうか?CNNは、孤独は生活の質を低下させるだけでなく、寿命が縮まる可能性が高まるという調査結果もあると報じた。

孤独は心身の健康を脅かし、その結果社会保障費の増加につながるなど、社会全体にも影響を与えているのだ。イギリスでは孤独を国が対応すべき課題として考え、孤独担当大臣を設けている

そんな中、地域や隣人同士のコミュニケーションを促進するために、部屋の外にあるバルコニーを共有する「Social Balconies」をオランダ人デザイナーEdwin van Capelleveen(以下、Edwin)氏が設計・発表した。アイントホーフェンの自治体が運営するソーシャルデザインアワードで、3位を受賞している。

Edwin van Capelleveenのソーシャルバルコニー

DESIGNER NAME: Edwin van Capelleveen PROJECT TITLE: Social balconies PHOTOGRAPHER: Nicole Marnati COPYRIGHT: Design Academy Eindhoven

隣の家だけでなく、斜め上や下の家と階段で繋がるこのバルコニーはモジュール構造になっており、既存のマンションやアパートであっても取り付け可能だそう。バルコニーに吊るされた植木鉢は、緑を増やして人々の会話や建物自体に活気をもたらすためだ。

都市部に住む人々の孤独感を課題に感じていたEdwin氏は「かつて住んでいた団地の庭が人々が集う場として使われていた経験から、既存の建物を大きく変えることなく、同じような憩いの空間を作りたかった」という。そこで着目したのが、ほとんど洗濯物を干すためだけに使われていた部屋のバルコニーだったそうだ。

Edwin van Capelleveenのソーシャルバルコニー

DESIGNER NAME: Edwin van Capelleveen PROJECT TITLE: Social balconies PHOTOGRAPHER: Nicole Marnati COPYRIGHT: Design Academy Eindhoven

家自体をシェアすることには抵抗があっても、プライベートな居住空間から半公共空間のバルコニーに出れば、緩やかなコミュニティに繋がることができる、という気軽さは魅力的だ。バルコニーでは食事を持ち寄りミニパーティーをしたり、ガーデニングを楽しんだり、雑談をしたりと、使う人々によってさまざまな交流の可能性を秘めている。また、近隣住民との連携により、災害時などには互いに助け合うこともできるだろう。

Social Balconiesは、新たなご近所付き合いの形として、そして都市における孤独への対策としての一つのグッドアイデアである。

【参照サイト】Social Balconies – Edwin Van Capelleveen
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