いま、消費者として大きな影響力を持ち始めているのが、1980年代以降生まれの世代、通称「ミレニアル世代」です。多様な価値観を持つミレニアル世代に対して、どのようなコミュニケーションを取るべきなのか、悩む企業の方も多いのではないでしょうか。
そんな問いをみなさんと考えるために、IDEAS FOR GOODでは2019年6月21日(金)にイベント「ミレニアル世代の視点から考えるソーシャルグッドなPR・コミュニケーションデザイン」を開催しました。
イベント前半は、IDEAS FOR GOOD編集部による、「#シェアしたくなる企業サイト」アンケート結果の報告会。さらにゲストスピーカーには、ソーシャルグッドなPRやコミュニケーションデザインに関わりのある方々をお迎えしました。
サステナブル・ブランド国際会議アカデミック・プロデューサーであり駒澤大学教授である青木茂樹先生、企業のCSV推進のプロである株式会社エンゲージメント・ファースト代表の原裕さん、ソーシャルグッド専門の広報であるひとしずく株式会社代表のこくぼひろしさん、ソーシャルグッドなテーマに強いクリエイターである FIRST APARTMENT代表・ドキュメンタリストの高島太士さんの皆様です。
本記事では、イベントの中から特に印象的だった部分をご紹介していきます。
【調査報告】ミレニアル世代に響く3つのキーワードとは?
はじめに、IDEAS FOR GOOD編集長である加藤佑が、IDEAS FOR GOODについて説明。IDEAS FOR GOODでは、社会を「もっと」よくするアイデアを集めており、読者層が20代から30代のミレニアル世代であることが特徴です。
そんなミレニアル世代の読者を対象に行なった「#シェアしたくなる企業サイト」アンケート調査。今回、調査に至った背景を続けて加藤が話しました。
「最近はエシカル消費やESG投資が浸透してきており、消費者や投資家は企業に対してただいい商品やサービスをつくるだけでなく、同時に社会課題を解決することも期待しています。企業が求められる役割が変わるのであれば、ステークホルダーとの関わり方も変わっていく必要がありますよね。そうなったとき、、未来に向けて消費者としても投資家としても力をつけていくであろうミレニアル世代が今なにを企業に求めているのかを理解し、彼らとのコミュニケーションをアップデートしていく必要があると考えました。ミレニアル的な多様な価値観を持つ消費者に対し、これからどうコミュニケーションをとるべきか、今日はみなさんと一緒に考えていきたいです。」
自分と企業との関わりが深くなればなるほど、社会課題への貢献が求められる
結果報告の前半では、IDEAS FOR GOOD編集部の宮木が会場に問いかけました。
「この中で、社会課題に興味、関心がある方はどのくらいいらっしゃいますか?」
会場の中で半数以上の手が挙がり、宮木が続けて質問しました。「では次に、モノやサービスを買うとき、その運営企業が社会課題に貢献しているかどうか意識する方はどうでしょう?」ちらほらと手が下がりました。そして最後の問いかけは、「もし転職、就職するとしたらその企業が社会課題に貢献しているかどうか意識しますか?」。会場の多くの手が再び挙がりました。
今回の調査結果でも行なったこれらの問いからは、IDEAS FOR GOOD読者であるミレニアル世代の社会課題への関心の高さとともに、「就職」などの自分と企業との関わりが深くなればなるほど「社会課題解決への積極性」を意識するようになる、ということがわかりました。
そして、今回の調査結果から、IDEAS FOR GOODが抽出したミレニアル世代が企業に求めるキーワードは3つ。「パーパス(企業の存在意義)」「オーセンティシティ(真正性・ありのまま)」「デザイン(かっこよさ・美しさ)」です。
企業サイトには企業の“パーパス”が表れる
後半では、これらのキーワードから、具体的にどんな企業サイトが読者から支持されていたのかをIDEAS FOR GOOD編集部の富山が説明しました。
「今、企業にパーパスが問われている時代ですが、同様に個人も人生のパーパスを探している傾向にあります。ミレニアル世代は、ただお金を稼いでモノを買うことが正解ではないと考える中で、『どういう人生を生きたいのか?』『どんな仕事をしたいのか?』と常に自分に問いかけています。そうすると、就職時も自分のパーパスと重なる企業に行きたいと思うのが当然ですよね。企業側は、どんどんパーパスを発信しなければ、ミレニアル世代が自分のパーパスと企業のパーパスをマッチングすることができなくなってしまいます。」
「また、ミレニアル世代には『ありのまま』のコミュニケーションが大事ですが、そもそも企業としてのパーパスを明確に持ち、それが従業員にも浸透していないと、自社のありのままの姿を自信をもって見せることは難しいので、その意味でもパーパスは企業にとって大切なことだと言えます。そして、そういった企業の“中身”が表れるのが、企業サイトなのです。」
読者が選ぶ企業サイト5選」のうちの1つ、サイボウズ株式会社さんは、特に社員さんのSNS活用が活発で、「企業のありのまま」が見えると読者から評価があったと言います。SNSは守られた場ではないので当然、企業アカウントで発信ではなく“個人”として発信することにはリスクも伴いますが、社員が個人として顔を出して発信できるということはつまり、それだけ会社の中身がしっかりしているということ。
また、IKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)さんは企業サイトで社員さんのインタビュー記事、オウンドメディアで自社商品の顧客を公開しています。それはステークホルダー(顧客、社員、株主など)との関係構築ができているということにつながります。
「みなさんは、どのくらいステークホルダーの顔を出せていますか?」「そもそも顔が出せるほど、会社の中身がしっかりしていますか?」と、締めくくりました。
最後に編集長の加藤が「真・善・美という考え方が日本にも昔からありますよね。人として徳のある生き方をする上で、この3つが大事という価値観は、実は私たちは昔から持っているもの。これはオーセンティシティ(真)、パーパス(善)、デザイン(美)という3つのキーワードに対応しています。これからのマーケティングもまさにこの真・善・美の価値観が大事になっていくのではないでしょうか。」と、コメントしました。
※今回の調査結果報告は「読者100人に聞いた「#シェアしたくなる企業サイト」。ミレニアル世代の心を掴むための3つのキーワードとは?」で詳しくご覧いただけます。
これからのマーケティングに必要なのは「サステナビリティ価値」
消費者の要望と行動のギャップを埋めるのは企業の責任
次に登壇したのはサステナブル・ブランド国際会議アカデミック・プロデューサーであり駒澤大学教授である青木茂樹先生です。先日アメリカで行われたサステナブル・ブランド国際会議から帰国された青木先生からは、現地のワークショップの様子や発表の様子がシェアされました。
話者プロフィール:青木茂樹 (あおき しげき)/ 駒澤大学 総合情報センター 所長 経営学部 市場戦略学科 教授・サステナブル・ブランド国際会議東京アカデミックプロデューサー
20世紀の成長から21,2世紀のWell Aging(成熟)したライフスタイルへ向けて、地域の資源を掘り起こし、観光資源へと繋げる。自転車で観光づくりをするNPOやまなしサイクルプロジェクトにて「信玄公サイクルロードレース」「南アルプスロングライド」などをプロデュース。日本に2016年よりサステナブル・ブランド国際会議を誘致し、アカデミック・プロデューサーを務める。地域デザイン学会理事、駒澤大学禅ブランディング事業チームリーダー。
サステナブル・ブランド国際会議とは、経営の根幹に「サステナビリティ」の考えを取り入れることが企業の競争力とブランド価値を高めるうえで重要であるという共通認識のもと、2006年にアメリカでスタートしたサステナビリティに関する世界最大級のカンファレンスです。
「マーケティングとCSRは本来、まったく別のものと言われていましたが、それを一緒に合わせてブランディングしようというのだから不思議ですよね。」と、青木先生。
青木先生が、アメリカのサステナブル・ブランド国際会議を日本に誘致して4年が経ちましたが、日本ではまだまだサステナブルマーケティングの概念は浸透していないと言います。青木先生がサステナブル・ブランド国際会議を日本でも開催しようと考えたとき、スポンサーを集めるためにさまざまな企業を回ったそうです。当時はほとんどの企業が「うちはもうCSRはやっているから結構です」と、企業が行なう社会課題への取り組みを外側に公開することはしなかったと言います。
「パーパスを持つブランドから商品やサービスを買いたいという人が65%いると言いますが、実際に購入する人は26%しかいません。買いたいという人が7割いるのだから、この数値のギャップを埋めるのは企業の責任ですよね。」
サステナブル・マーケティングは成立する。マーケティング3.0の時代へ
「今、ソーシャルウェーブの波が生まれてきています。」
冒頭でも青木先生から問いかけがありましたが、サステナブルなマーケティングは成立しないのかというと、そうではありません。今、社会課題に積極的に取り組む企業で働きたい人は増えています。外堀でそういう商品を作らざるを得ない状況にあると、青木先生。
「今までのマーケティングは機能的価値から情緒的価値(デザイン)でした。今求められるのはもう1つ。“サステナビリティ価値(環境や社会性)”です。これは、あらゆる存在物に対してマイナスな負荷を与えないという価値観です。ファッションブランドでも今、少しずつリサイクルを進めていますよね。今は『持っていると社会的にマイナスなイメージがつくブランドは持ちたくない』と、思われる時代です。ポジティブな消費につなげるというよりは、ネガティブな要因を排除しないと、企業としてマイナスに見られてしまいます。」
パーパスを掲げて共感の連鎖をつくる
続けて青木先生は、会場に2つの疑問を投げかけました。「そもそもなぜ今、パーパスが大事だと言われているのでしょうか。ミッションや企業理念と何が違うのでしょうか?」
「最近になって“エンゲージメント”(ブランドと消費者との間の絆)という言葉が出てきたのは、なぜでしょうか。昔はロイヤリティ(消費者の忠誠心)と言われていました。この2つは一体、何が違うのでしょうか?」
地球の環境問題や社会問題に対して、企業がどういうスタンスで考えているのかを表すのがパーパス。ロイヤリティとは、会社に「従う」ことを表すことを言います。それに対してエンゲージメントは「共感」を作るもの。この2つの言葉の違いを考えていくと、顧客と企業の関係性が徐々に変わってきていることがわかります。
「つまり今は、顧客と企業、そして企業同士が『共感』し合い、同じパーパスに向かって共存する時代です。NPOやNGOと同じパーパスを持っていたり、SDGsで同じ番号への到達を目指していたら、連携することができるんです。」と、青木先生はパーパスを掲げることが今後、共存共栄の社会を作り出すことを強調しました。
【パネルディスカッション】企業のコミュニケーションのあり方とは?
続いては、パネルディスカッションです。ここからは企業でソーシャルグッドなPRやコミュニケーションデザインに関わりのあるお三方に、ミレニアル世代であるIDEAS FOR GOOG編集部の富山が加わり、意見を交わしました。ファシリテーターはIDEAS FOR GOOD編集長の加藤です。
話者プロフィール:こくぼ ひろしさん / ひとしずく株式会社代表・ソーシャルグッド専門PRエージェンシー
立教大学法学部卒業。在学中より国際協力NGOの調査研究・アドボカシーチームにてインターン。その後、広告・PR・制作会社、ベンチャー企業を経て独立。日本初のソーシャルグッド専門のPRエージェンシー ひとしずく株式会社、一般社団法人ソーシャルグッドを設立。社会課題解決に取り組む組織の後方(広報)支援を行う。
話者プロフィール:高島 太士(たかしま ふとし)さん / FIRST APARTMENT代表・ドキュメンタリスト
ソーシャルグッドなアイデアで共感をよぶ映像演出を得意とする。代表作はP&Gパンパースの「ママも1歳、おめでとう。」など。過去に手がけた作品はCanne Lions、One Show、New York Festival、AdFest、Spikes Asia、AD STARS、PR AWARD ASIA、ACCなど国内外の広告祭で受賞歴多数。直近ではSDGsや幼児教育の分野において映像の知見を活用した取り組みを進めている。
話者プロフィール:原裕(はら ゆたか)さん / 株式会社メンバーズ執行役員 兼 株式会社エンゲージメント・ファースト代表取締役・CSVコンサルティング
アメリカン・エキスプレスで営業、マーケティング、その後、外資系広告代理店(JWT)を経て1999年メンバーズに入社、アナログとデジタル領域の経験からマーケティングを追求。2011年に立ち上げた子会社エンゲージメント・ファーストではCSV、社会課題をビジネスで解決し、持続可能な社会を共創するマーケティングに取り組んでいる。著作:https://amzn.to/2QLtKRc
未来を創るためには、パーパスを考えることが必要不可欠
まず、ファシリテーターの加藤から投げかけられた質問は、「コミュニケーションの際に心がけていることはなんでしょうか。」というもの。
原さん: 最近はみんなTVも見ないので、SNSで拡散されることが重要となってきていますが、SNSだと熱が伝わるんですよね。パーパスを持っている企業の投稿は強い。だからこそ、インナーブランディング(社員に企業ブランドの価値や目指す姿を理解させる啓蒙活動)が大事なんです。パーパス作りは悩んでいる企業さんも多いのですが、そもそも、社員にエンゲージメントができていないとダメです。
弊社ではデジタル・クリエイターをかなりの数で採用していますが、どうしたらみんなが幸せでいられるのかを、当時国連が発表する世界幸福度ランキング1位(2019年は2位)のデンマークにそのヒントを求めに役員が交代で行きました。税金も高いのに、なぜデンマークの人々は幸せなのか。幸せの鍵は、「デザイン」だったんです。デザインの4Pというのがあります。「people(人)」「planet(地球)」「profit(利益)」「play(遊ぶ)」。人を中心に考え、そして人が住んでいる地球のこともきちんと考えよう。かっこいいだけではダメなので利益も大事にし、楽しくないと人は学びができないので遊び心も大切だという考え方です。
エンゲージメント・ファーストでは、デンマークのデザイン会社Bespokeと共同で、そんなデンマーク流のデザイン思考の考え方で企業のブランドの未来を考える「Futures Design」というワークショップを行なっています。
近い将来、数値計算はAIが担当し、人間は右脳的なクリエイティブなスキルや感性が重要になると思います。まさに真・善・美の世界ですね。今回そのキーワードが顕著に見えてきたということだと思います。
一緒に課題を解決。「地産地消」ならぬ「友産友消」
原さん: その「Futures Design」というワークショップをやっていて思いますが、パーパスを掲げることで、コラボレーションすることができるようになります。「一人ではできないので、一緒にやらない?」と、同じ目標に向かって競争できる関係を作る流れができるんです。
こくぼさん: 非営利の方を対象に仕事をしていると、みんなで課題を解決し、盛り上げていくことがより大切なんです。「関わっている会社みんなで生き残ろう」と。うちの社員から提案があったのが「地産地消」ならぬ「友産友消」です。友人というかパートナーさんと、どう一緒に課題を解決していくかがベースとしてあります。うちの会社ではステークホルダーミーティングをやっているのですが、そこでは、メンバーや顧問、メインバンクの銀行の方、税理士さん、社労士さん、協力会社さんに集まっていただき、売り上げやキャッシュフローなどの数字を全部公開して、正直に話をしています。メンバーから公開ダメ出し、なんてのもあります。そこでいろんな課題も見えてくるんですよね。
そして僕たちは、自分たちのことを「コンサルティング」とは言いません。たとえば、パートナーさんとのメールでは「いつもお世話になっています」という通常は社外の人とのやり取りに使われる挨拶が、いつ「お疲れ様」に変わるかと期待しているんです。なので僕はなるべく朝にメールを送ります。「こんにちは」だとちょっと失礼な気がして。「おはようございます」を、「お世話になります」の代わりに使うんです。
あとは、「こうしたらいいんじゃないですか?」ではなくて、「こういう課題があるので僕らはこれをやりますので、ここはお願いします」というような、社内でチームを作る感覚など、1つ1つの言葉を大切にしています。そういう小さなところから「この人たちは言うだけの人ではないんだ」と、伝えていくことが大切だと思っています。
加藤: 僕も先日、ひとしずくさんのステークホルダーミーティングに参加させていただいたのですが、これいいのかってくらいありのままを伝えていらっしゃいました。それによって信頼関係ができるんだなということを学びました。ミーティングの開催によって感じた変化は何かありますか?
こくぼさん: 情報を開示すると逆に情報が集まると感じました。親身になって応援してくれる方が増えて、関係者の人が僕たちに、有益な情報をシェアしてくれるようになったんです。情報開示によって、さらに信頼関係が生まれました。
コミュニケーションのキーワードは「伝えすぎないこと」
「一部の意識が高い人にしかメッセージが届かないという問題には、どう対処するべきでしょうか?」と、ファシリテーターの加藤が問いかけました。
こくぼさん: 僕は、パートナーさんには「伝えない広報です」と言っています。最初に伝えすぎてしまうと、その後に広がらないんです。最初は伝えすぎず50%くらいを見せて、実際に来てくれたときに100%を見せる。ちゃんとそこは設計していかないと厳しいですね。
高島さん: 「伝えすぎない」は、僕も大事にしています。動画を見たときに、「これどこで売っているんだろう?」とか「もっと知りたいな」と、自分たちで調べようと思わせるところで情報をとどめておいて、その先を読者にシェアしたいと思ってもらうことが大切です。
インナーブランディングがコーポレートPRにつながる
加藤: 高島さんにお伺いしたいのが、動画が企業の課題解決や顧客とのコミュニケーションにどうつながるか、ということです。
高島さん: 映像演出家でありながらも、大事にしているのはインナーブランディングです。結局、インナーブランディングがコーポレートPRにつながるんですよね。ビジョンムービーを作るよりもまず、力を入れるべきなのは、社内報を見直すことや、どういう風にフィジカルなコミュニティを使うかです。
僕は映像演出家の延長でドキュメンタリストをやっていますが、「人は、勇気を出す瞬間が美しい」を大切にし、人の一度しかない瞬間や感情を引きだし、 映像に切りとっています。つまり、人の感情をコントロールできたらいいなと。新しいプロジェクトをやるにしろ、社員の方がやりたいと手を上げないと会社が動かないですよね。動画をタネとして提案することはできますが、会社の中に入って社内規定を見直すぐらいの勢いで動画を作らないといけないと、いつも思っています。
富山: 編集者としても、インナーブランディングをしっかり行なっている企業さんのサービスを広めたいと感じます。もちろんどんなサービスをやっているかは大切ですが、サービスのファンを作るよりも中の人の想いを伝える方がファンができやすいと思うので、その中の人が楽しんで、誇りを持ってやっていることは大切です。
これからは、競争ではなく「共感」で仲間づくりを
最後に、会場からいくつかの質問があった後、こんな声が上がりました。
「うちの会社は、以前までSDGsがあまり社内に浸透していなかったのですが、会社のサステナブル関連の商品が、あるメディアに取り上げられたことをきっかけにいきなり社員に火がついたんです。会社が外から評価されたことで大幅に方針が変わり、積極的にSDGs関連の商品を出していこうという流れに変わりました。メディアの役割って、外側から気づかせることだと思うんです。」
イベントの中で、青木先生も「パーパスを持つ企業の商品を買いたい消費者が7割いても、実際に購入する人は3割しかいない。この数値のギャップを埋めるのは企業の責任」と、おっしゃっていました。消費者の共感をうむためには企業の変革が必要になります。そしてその企業に対して、サステナブルを語らせたくなる状況を作り出すことが、私たちメディアや広報の役割といえるでしょう。
今回、企業がミレニアル世代とコミュニケーションを取る上で、大切にしていかなければいけないと強調されたパーパスですが、このように企業がパーパスを掲げることで、たとえ業界が異なっても、同じ価値観を持つ企業や消費者同士でコラボレーションすることができます。今は競合する時代ではなく、「共感」をうみ、仲間を集めてより良い社会をつくる方向にシフトしている。今回のイベントでは、そんな新たな側面に触れられたのではないでしょうか。
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