近年、農業の課題をテクノロジーによって解決するアグリテックが注目されている。たとえば、手作業で収穫されている作物を機械で収穫しようというものだ。ジャガイモや小麦など一部の作物を除き、多くの作物はいまでも人の手で収穫されており、農業人材が不足する今、効率化が課題となっている。
しかし、機械で畑の農作物を収穫する場合、収穫による傷がついたりまだ食べるには早すぎたりする野菜や果物は、廃棄されてしまう。イギリスで栽培される一般的なレタス、アイスバーグレタスは傷が付きやすく、平面で成長するため、機械での収穫がとても難しく手作業で収穫せざるを得なかった。
そんななか今回、英ケンブリッジ大学の研究チームが、機械学習を使ってレタスを収穫するロボット「Vegebot」を開発した。状態が良く、収穫するタイミングを迎えたレタスのみを識別し、傷をつけずに収穫することができるというものだ。また、24時間稼働するため、同じ畑を何度も行き来し、未熟なレタスが成長しきったところでちょうど収穫できる。
Vegebotは、主に作物の状態を識別するコンピュータビジョンシステムと、作物を収穫するカッティングシステムの二つの構造を持っており、以下のように機能する。
まず、Vegebotのオーバーヘッドカメラがレタス畑の写真を撮影する。このカメラは最初に画像内のすべてのレタスを識別したあと、各レタスを収穫するべきかどうかを分類する。まだ収穫できる状態でなかったり、病気がある可能性があったりするレタスは「収穫すべきでない」と判断されるのだ。
そして、カッティングブレードの近くに配置されたもう一台のカメラが、レタスをスムーズに切り取る手助けをする。ロボットのアームにかかる圧力は調整可能で、レタスを落とさないようにしっかり持つようにできるが、押しつぶしてしまうことはない。
このプロセスを経て、レタスは傷つけられることなく綺麗なまま収穫される。研究チームは実験室でレタスを収穫する訓練をしたあと、地元の農業協同組合と共同で実際の農場と同じ条件でさまざまなテストを行った。
まだまだ収穫のスピードは人よりも遅いが、将来的には、農業の労働力不足を解消する技術となることが期待されている。そして、収穫段階での食品ロスを減らす手助けにもなるだろう。農業が抱える幾多の課題をロボットと一緒に解決できる日に、また一歩近づいていく。
【参照サイト】Robot uses machine learning to harvest lettuce Robot uses machine learning to harvest lettuce Robot uses machine learning to harvest lettuce
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