カフェで冷たいドリンクをオーダーすると、使い捨てのプラスチックカップで渡されることが多く、環境への影響が気になる方も多いのではないだろうか。スターバックスやディズニーランドでプラスチック製ストローが廃止されるなど、飲食業界における脱プラスチックの勢いは増しつつあるが、プラスチックカップに代わるカップはまだあまり見かけないのが現状だ。
2019年8月、ドリンクパッケージ業界で長い歴史を持つ米国ボール社(Ball社)は、永久にリサイクル可能なアルミニウムカップのパイロット版を発表した。同社は数年前から、プラスチックカップに替わる存在として、家庭内やアウトドアなど様々な場面で使えるアルミニウムカップの開発を進めてきた。このアルミニウムカップのパイロット版は、2020年に米国内で限定展開される予定だ。
「環境への意識の高まりから、サステナブルなドリンク・パッケージに対するお客様の要望が高まっている。ボール社にとっても、アルミニウムカップのパイロット版の立ち上げは、大きな意味を持つ瞬間だ。」同社の会長、社長兼CEOのジョン・A・ヘイズ氏(John A. Hays氏)は話す。「顧客の要求に対し解決策を提供できるようイノベーションを続けるのは、アルミニウム製のドリンクパッケージを牽引する我々の役目だ。アルミニウムカップをマーケットに発表し、商品ラインアップを広げていきたいと考えている。」
このパイロット版は、2019年9月以降に米国内の主要な飲食店や販売店などでプラスチックカップの代わりとして使用される予定だ。ボール社の調査によると、「プラスチックカップの代わりにアルミニウムカップが使われている場合、飲食店を利用する頻度が増えると思う」と答えた米国消費者が67%、また「今後5年以内にドリンクメーカーが環境に配慮した容器を使用することを期待している」と答えた米国消費者は78%に上り、期待も大きいはずだ。
プラスチックはリサイクルをすると物質が劣化し品質にも影響するが、永久にリサイクル可能なアルミニウムは、サステナブルなドリンクパッケージの素材と言えるだろう。また、アルミニウムカップは頑丈で耐久性があり、ひんやりとした触り心地がよく、ロゴや画像などを加工してカスタマイズすることも可能という利点もある。
ボール社のアルミニウムカップは、現在は20オンス(約590ミリリットル)サイズのみだが、将来的にはユーザーの要望に合わせてサイズ展開も広げていく予定だ。私たちがカフェでアイスコーヒーをアルミニウムカップで受け取る日も、そう遠くないかもしれない。
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