インターネットが利用できるというのは、当たり前のことではない。世界では3Gネットワーク、もしくは4Gネットワークでカバーされていない人が10億人もいる。そして世界人口の40%は、2025年までインターネットに接続できないままだと予測されている。
サンフランシスコのスタートアップ企業であるBridgefyは、インターネットがなくてもAndroidおよびiOSのモバイルアプリが使えるようになるソフトウェア開発キット(SDK)を配布している。これはインターネットの代わりにBluetoothを利用してデータ通信を可能にする技術で、既存のアプリに統合すれば、オフラインでもそのアプリが使えるようになる。
同社はBluetoothで通信できる機能を持つメッセージングアプリ「Bridgefy」を配信している。こちらは2019年6月以来続く香港の抗議活動の参加者に広く利用されているという。中国政府がインターネットへのアクセスを制限しても利用でき、かつ政府にメッセージを監視されるリスクが非常に低いというのが、その理由だ。
Bridgefyはインターネットに頼らないコミュニケ―ションを可能にし、政治活動を行う人々が諜報されることなく安全に団結する助けとなる。調査会社のApptopiaによると、2019年7月から8月の2か月間でアプリのダウンロード数が4,000%近く上昇したという。
BridgefyはBluetoothで構築されたメッシュネットワークにより、街全体にいる人と繋がることが可能だ。半径100メートル以内にいる人とのメッセージのやり取りが迅速にでき、さらに離れた場所にいる人にも、Bridgefyユーザーが持つデバイスを経由することでメッセージを送ることができる。いわばバケツリレーのようにしてメッセージが伝わっていくのだ。
同社のCEOであるジョージ・リオス氏によると、世界でハリケーンや地震の被害があったときもアプリのダウンロード数が急増するという。普段は何不自由なくインターネットが使えるが、有事の際にはそれに頼ってはいられない。我々は、それを意識しておく必要があるだろう。
同社は開発者向けに、その中核技術のライセンスを供与している。もしかしたら将来、Uber、WeChat、WhatsAppといったアプリが、インターネットなしでも使えるようになるかもしれない。今後の広がりが楽しみだ。
【参照サイト】 Bridgefy
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=tWefBK014us