幸福が最優先。アメリカ・マイアミに開校した、ウェルビーイングを教える小学校

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「ウェルビーイング」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。ウェルビーイングとは、個人が身体的・精神的・社会的に良好な状態を意味する。これは身体的な健康や経済的な安定だけでなく、人間的な「豊かさ」を含んだ状態を指し、しばしば「幸福」と訳されることもある。

産業革命と科学の発展により、人類は飛躍的に豊かになった。一部の地域を除けば飢餓や疫病への心配はほとんどなくなり、平均寿命も伸び続けている。社会的格差や差別は残るものの、人権保護の活動から自由の範囲は拡大している。

しかし「人類は幸福になったか?」と聞かれれば、Yesと胸を張って答えることは難しい。The General Society Surveyの報告によると、アメリカ国内で「自分は幸せだ」と答える人の割合は1993年から2018年にかけて約3.5%減少したという。

これはアメリカだけの話ではない。WHOによると毎年の自殺者の数は世界で80万人近くにのぼり、これは40秒に1人が自殺している計算になる。自殺までには及ばなくとも、鬱と評されるような、生きがいを喪失したり孤独に怯えたりする人は増えていると感じないだろうか。

このようにウェルビーイングという幸福の尺度が見直されている中、今年の9月、アメリカ・マイアミにウェルビーイングを教える小学校セントネル・アカデミー(Centner Academy)が開校した。ここでは、幸せになる方法を学ぶことを根底に置いたカリキュラムを組んでいる。

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Image via shutterstock

セントネル・アカデミーに通う生徒たちの1日は瞑想から始まり、自分自身と向き合うスキルを身につける。午後にもウェルビーイングを学ぶ授業があり、感情と思考を効率よく使う方法や、新しい挑戦を恐れない強い心の作り方など、「良い人間性」を養うための授業が設けられている。

授業は少人数制で行われ、生徒の探究心に基づいた学習方法を採用している。生徒自身に学びたいことを探させ、教師はそれをサポートするに留まることによって、自主性のある思考を育てている。また、授業はプロジェクト形式で進められ、生徒同士が協力しながら問題を解決し、チームワークを学べるよう工夫されている。

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特筆すべきことは、英語・中国語・スペイン語の3カ国語で授業が行われていることだ。これはマルチリンガルな環境では、クリエイティブで共感性が高く、他文化への好奇心が強い性格が育まれるという科学的な根拠をもとにしている。また、主要な言語を習得することによって、生徒がより広い世界に貢献できるよう可能性を広げている。ほかにも、保護者に向けたコーチングも行っており、家庭内でも生徒が身体的にも精神的にも健やかに過ごせるようサポートをしている。

創設者のセントネル氏らは、「生徒は親切で思いやりのあるリーダーに育つでしょう。私たちは、彼らがここで学んだことを、地球全体に広げていくという大きなミッションに挑むことを願っています。」と話す。

IDEAS FOR GOODでも以前、インドで幸福を教える学校が開校予定と報じたように、これからは今までの教科に加え「幸せになる方法」を教えることが教育の一部になるのではないだろうか。今後、パイオニアとしてセントネル・アカデミーの教育方法がどのように広がっていくのか楽しみである。

【参照サイト】CENTNER ACADEMY
【参照サイト】The Washintong Post”Americans are getting more miserable, and there’s data to prove it”
【関連記事】 勉強よりも「幸福」を教える学校、2020年にインドで開校予定

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