NYのオシャレさん御用達。エコなコインランドリー「Celsious」に学ぶ、環境に優しいお洗濯

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ファッション業界のサステナビリティを牽引するブランドのひとつといえば、「ステラ・マッカートニー」──2001年、ビートルズのポール・マッカートニーを父に持つステラ・マッカートニーが自名を冠して立ち上げたブランドだ。「責任を持ち、誠実で、現代的な会社であること」をブランド信念に掲げ、皮革・毛皮を一切使用しないなどラグジュアリーブランドの中でも先駆けてサステナブル・エシカルな取り組みを取り入れてきた。創始者のステラは、プライベートでも菜食主義を貫いており、普段から環境に配慮した生活を徹底している。そんな彼女が、2019年7月初めにガーディアン紙で「必要でない限り洋服を洗う必要はない」と語ったことがきっかけとなり、人々の間で洗濯の仕方や頻度が話題となった。

私は、ドライクリーニングもそれ以外の洗濯もあまり好きではないの。サヴィル・ロウ(ロンドンにある、仕立て屋が集まるストリート)で働いていた時に、仕立て師から「洋服を洗う回数は少ないほど良い」と教わったのですが、これは本当にそうだと思う。洗う回数を少なくし、入念にケアしたほうが洋服は長持ちするわ。それに、洗う回数が少なければ水やエネルギーをセーブすることもできるしね。── ステラ・マッカートニー

「普段は自宅で洗濯を行い、ひどい油汚れが付いた服や型崩れさせたくない服はクリーニング店に持ち込む」というふうに洋服のケアを行っている人は多いだろう。普段は意識しないかもしれないが、実は、こうした洋服の手入れには環境負荷がつきものなのだ。家庭用洗濯機の場合、1回の洗濯で使用する水量は縦型で約90~120リットル、ドラム式で約70~80リットル。2日に1回洗濯機を回すとしても1年でかなりの水を消費していることがわかる。ドライクリーニングの場合は水を使わずに汚れを落とすことができるが、使用する有機溶剤の環境への悪影響が懸念されている。加えて、ポリエステル、アクリルなど化学繊維の洋服を洗濯するときに抜け落ちた繊維片「マイクロファイバー(マイクロプラスチックの一種)」が排水とともに流出してしまっている。国際自然保護連合によると海に流れ出ているマイクロプラスチックのうち、実に34.8%が洗濯時に発生しているという(2017年の調査より)。

「できる限り環境にやさしい生活をしたい。だが、衛生面を考えるとあまり洗濯をしないのも気が引けてしまう」──そんな人も多いはずだ。せめて一回一回の洗濯の環境負荷をできるだけ抑えることはできないか、そのためにはどうすればいいのか?環境に優しい洗濯のヒントを得るため、筆者はニューヨークのオシャレさんが通うエココンシャスなコインランドリーを訪れた。

Celsious外観

Celsious外観

ニューヨーク市ブルックリンのウィリアムズバーグに位置する、Celsious(セルシオス)。こちらは、ドイツ出身のウィリアムズ姉妹が2017年に設立した環境にやさしいコインランドリーだ。

いわゆるコインランドリーといえば質素でどんよりとしたイメージだが、Celsiousの店構えはそんなイメージを覆すオシャレさだ。高さのある天井に、清潔感のあるホワイトの壁、差し色に使われたオレンジ、イエロー、ピンクなどの明るいカラーが気分を晴れやかにしてくれる。コインランドリーとは思えないほど、洗練された居心地の良い空間が広がっていた。

Celsiousのフロント

Celsiousフロント。写真中央の棚にあるカラフルな容器に入っているのは、Celsiousの利用者に無料で配布されている洗剤。ベーキングソーダ(重曹)、ウォッシングソーダ(炭酸ソーダ)、オーガニック ビーガン石鹸のたった3つの天然成分でできたもので、香りつきや無香料のものなどを好みで選べるようになっている。

洗濯・乾燥場

体に優しいドリンクを提供するカフェが併設されていたり、フロアの一画を利用してウェルネスに焦点を当てたイベント(耳つぼジュエリーのカウンセリング&カスタムフィッティングイベントやヨガレッスンなど)が開催されていたりと、利用者がリラックスできる空間づくりが徹底されている。「『ここに居たい』と思ってもらえる、心地よくて楽しい場所をつくりたい」というオーナー姉妹のこだわりからこのあたたかな空間が誕生したという。

Celsiousで使用している洗濯機/乾燥機は、環境負荷が少ない特別な機械である。洗濯機は一般のコインランドリーで使用している機器より使用する水の量を30%削減できるのだという。

また、コインランドリー用の洗濯機には珍しく、さまざまなコースが設定できるのも特徴だ。急いでいるときに使えるクイックコース、おしゃれ着用のデリケートコースのほか、「ヨガマット用」「ウール用」など洗うものに適したコースを選択できるのも興味深いポイント。洗濯機で洗えるものの種類をできるだけ増やそうとする配慮に「環境に良くない化学薬品をたくさん使用するドライクリーニングを極力使用しないようにしたい」という姉妹の思いが垣間見える。

Celsious店内のようす

店内の一画。左奥に見える階段は、NYの地下鉄で使用されていた点字ブロックを再利用したもの。

ここからは、Celsiousで販売されているエコ洗濯グッズを紹介しよう。

上記写真・棚の中央にある青いボールは、コーラボール(Cora ball)と呼ばれるグッズだ。洗いたい物と一緒にこのコーラボールを洗濯機に入れると、化学繊維製の洋服を洗った時に抜け落ちるマイクロファイバーを集めてくれる。サンゴ礁(Coral)が海を浄化してくれることに由来し、この名がついたのだという。

また、衣類を入れてそのまま洗えるランドリーバッグ(ランドリーネットとも呼ばれる)もCelsiousで注目されているアイテムのひとつだ。ランドリーバッグといえばデリケートな洋服を保護するために使用されることが多いが、こちらで販売されているバッグは、加えてマイクロファイバー対策にも役立つ優れもの。その秘密は「織り目の細かさ」にある。一般的なものよりも細かく編み込まれたバッグの布地はツルっとした肌触りで、この滑らかさが洋服の摩擦を減らし繊維の抜け落ちを減らしてくれるのだという。万一繊維が抜けてしまってもバッグ内でキャッチしておけるので安心だ。

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Here's why you need these wool dryer balls in your life: 1. Dryer sheets are toxic and wasteful. 2. As few as 3 balls per dryer will render your bedding super fluffy, your sheets and towels ultra-soft – no static cling ever! 3. You can scent them with your favorite essential oil (soothing lavender, invigorating lemongrass…) for some between-the-sheets aromatherapy. 4. Post dryer use these babies can moonlight as scented dryer paper alternative… 📷 @heidisbridge …………………………………………………………………… #celsious #modernlaundry #laundromat #cafe #williamsburg #brooklyn #nyc #sustainableliving #cleanliving #sustainablecleaning #organic #jointhefold #loadsoflove #laundryday #garmentcare #cleanfreak #howtowash #greenliving #blackowned #wocowned #familybusiness #womenownedbusiness

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次に紹介するのは乾燥時に使用するアイテム、ウールボールだ。洗濯物と一緒に乾燥機にいれて使用することで、乾燥にかかる時間を通常より25%短くし、一緒に入れている洋服類を柔らかくする効果があるという。静電気を防ぎ、シワを減らしてくれるのも嬉しいポイント。また、ウールボールに好きな香りのアロマオイルを数滴垂らして使うと、洗濯物にほんのり良い香りが残るそうだ。

Celsious店内

 

最後に、ウィリアムズ姉妹が教える「環境にやさしい洋服ケア」3つのポイントをご紹介しよう。

〈Celsious流、エコ洗濯のポイント〉

1.エコな洗剤を見つけよう

天然成分、生分解性の環境にやさしい洗剤を探そう。プラスチック容器に入っている液体洗剤よりも、ガラス瓶などに入っている粉洗剤を選ぶのがおすすめ。

2.柔軟剤を見直そう

肌荒れを起こす可能性のある合成香料が含まれる柔軟剤や、使い捨ての柔軟シートの代わりに、ウールボールを使用してみよう。

3.洗濯や乾燥時の温度を極力下げよう

こうすることで使用電力を減らし、洗濯時に発生するエネルギー量を下げられる。

ウィリアムズ姉妹が提案するのはどれもトライしやすい「ちょっとした工夫」だ。「洗濯を一切しない」「最新型のエコ洗濯機を買う」といった極端なことをしなくても、洋服に合わせて洗濯回数をすこし減らしたり、洗濯用品を見直したりするだけでぐっと地球にやさしい洗濯ができる。

環境に配慮した製品を選び、洋服の手入れをする──そうすれば、自分の持ち物により愛情を持てるようになるはずだ。Celsiousが提案するように、「洋服のケアは、自分のケア」。まさにその通りである。いつもより少しだけ丁寧に洋服をケアしながら、地球や自身を大切にするゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがだろうか。

Celsiousオーナー姉妹の画像

Celsiousオーナーのウィリアムズ姉妹。左からCorinnaさん、Theresaさん

【参照サイト】Celsious
【参照サイト】Celsious|Instagram
【参照サイト】Stella McCartney: ‘It’s not like I’m here for an easy life’|The Guardian
【参照サイト】Stella McCartney 公式サイト
【参照サイト】水の上手な使い方|東京都水道局
【参照サイト】Primary Microplastics in the Oceans|IUCN