私たちは幼い頃から、グラウンドやコートに立つヒーロー達に憧れ、そのプレーに魅了されてきた。スポーツを通して、時には自分自身の限界に挑戦し、時には仲間達と感動を分かち合う。スポーツは、いつの時代も人々の健康や成長を後押しし、社会を豊かにしてきた。
その一方で、体調管理や水分補給を上手く行わなければ、人々が運動中に倒れて意識を無くしてしまうような危険を、スポーツははらんでもいる。来年に控えた夏季東京五輪に向けて、オリンピック委員会では今現在、選手や観客の熱中症対策についての議論が交わされているという。
近年の日本の夏は暑く、10月に入ってからも関東地方で30℃以上が記録されている程だ。気候変動による猛暑が今後ますます、スポーツが親しまれる弊害となりうることは、私たちも薄々肌で感じてきているのではないだろうか。
このような課題に対し、世界的スポーツブランドのナイキ(Nike)は「地球環境を守ることは、スポーツの未来を守ることと同義だ」という信念を貫いてきた。同社は2018年時点でプロダクト生産の75%に再生素材を用いるなど、環境負荷を軽減する取り組みをいち早くから熱心に続けている。
2019年9月23日に米ニューヨーク・国連本部で行われた「国連気候変動サミット」に先駆け、ナイキは同市に位置する本社にて、新たな環境ビジョンを発表した。その名も「Move to Zero」。この目標は、同社が以前から、全社的に掲げてきたサステイナビリティに関するビジョンを具体化したものだ。
「Move to Zero」の主な5項目はこちら。
- 2025年までにナイキのすべての施設を100%再生可能エネルギーによる電力で稼働する。
- パリ協定に従い、2030年までにグローバルサプライチェーン全体のCO2排出量を30%削減する。
- シューズ製造で出る廃材の99%を再利用する。
- 年間10億本以上のペットボトルを埋立地から再利用して、新しいジャージの糸とFlyknitシューズのアッパーを製造する
- “Reuse-A-Shoe”と“Nike Grindプログラム”を通して、廃材から、新製品、遊び場、ランニングトラック、またはコートを作り出す。
今や世界中に1万以上の拠点を持ち、国や地域を問わず親しまれているナイキだからこそ、こうした全社的な取り組みが与えるインパクトの大きさは計り知れない。
そのスタイリッシュなイメージや、遊び心の詰まったカラフルなプロダクトデザインで多くのファンを魅了し続けているが、常に具体的な環境政策目標を今回のような形で公言し、“Just do it”の精神で行動し続けるその姿には、スポーツブランド業界を牽引し続けるリーダーとしての資質が伺える。
「スポーツが昔や今と変わることなく、人々に愛され、楽しまれる未来を守りたい。」ナイキが、環境問題に取り組む目的はこの一点に尽きる。
身体や道具を大事にするのと同じくらい、スポーツを行う“フィールド” である地球環境もケアしなければ、スポーツの未来は成り立たない。同社にとって、地球環境を守ることは、プロダクトを売ること以上に重要な課題なのだ。
人々に夢や希望を与え、人生を彩ってくれるスポーツ。今こそスポーツや地球に対して、改めて私たちも感謝を行動で示していきたい。
【参照サイト】What to Know About Nike’s Stance on Tackling Climate Change