近年、片麻痺(半身がまひすること)や視覚障がいなど、さままざま身体能力を持った人のために、スマートフォンのユーザーエクスペリエンスを向上させる研究が進められている。
そしてこのほど、プロダクトデザイン・エンジニアのドギー・マン氏が、インペリアル・カレッジ・ロンドンとロイヤル・カレッジ・オブ・アートでの卒業課題として、スマホに取り付けたボタンを押すと誰でも片手で文字を入力できるキーボード「TypeCase(タイプケース)」を開発した。
ドギー氏は、アイデアを実際の開発に移すにあたり、製造会社3D Hubsから学生助成金を得た。
TypeCaseは、スマホカバー型のキーボードについているサイドボタンを押すことよって、アルファベットを入力する製品だ。片側の4つのボタンはユーザーの4本の指で、反対側の1つのボタンは親指で押す想定で設計されており、入力された文字はBluetooth経由でスマホに反映される。
ユーザーはアルファベットの各文字を表すボタンの組み合わせを覚える必要があるが、一度マスターすると、目視することなく、片手で入力できるようになるという。どことなく、指で押さえるパターンがある楽器の演奏のようだ。
ドギー氏ははじめ、どちらかの腕を切断した経験のある人や、ケガをしている人、半身がまひしている人に向けてこの製品を開発した。しかしボタンが隆起して触感があるため、視覚障がいのある人の支援にも役立つのではないかと新たな可能性も見出している。
彼は今後、インクルーシビティ(包括性)を意識した設計により、本製品が多くの人々の助けになることを目指している。より多くの人がスマホを使うようになった今、どのような人が使うのか、そしてどこが不便なのか、を考えるデザインは今後も発展していくようだ。
【参照サイト】TypeCase