【Circular Cities Week Tokyoレポ】企業と消費者と行政の力で。サーキュラーエコノミーを実現するためにできること

Browse By

このところ盛り上がりを見せるサーキュラーエコノミーだが、企業や組織はどのようにしてこの流れを取り入れたらいいのか。2019年11月1日に、サーキュラーエコノミーの国際ネットワークであるCircular Economy Clubが主催するイベント「Circular Cities Week Tokyo Workshop」が行われた。会場は、これまでもサステナビリティに関するイベントを数々開催してきたTRUNK(HOTEL)だ。

イベントは、NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの坂野晶氏による「サーキュラーエコノミー・日本や東京での現状」をテーマにしたプレゼンテーションから始まった。続いて、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開する、株式会社Nature Innovation Groupの丸川照司氏による事例紹介が行われた。

そして今回のイベントの目玉は、その後に行われたワークショップだ。参加者はリテール、ホテル、飲食、イベントとテーマごとにグループにわかれ、各事業をサーキュラーエコノミーの考え方へ転換する上での課題を挙げ、その課題を解決するために誰がどういうアクションを取るべきか具体策を話し合った。その後各グループの代表者が話し合った内容を発表し、グループ内で出た意見が会場に共有された。

イベントをとおして多くの意見が出された中で、特に印象的だった部分をご紹介したい。

会の様子

サーキュラーエコノミーは、お金になるのか?

サーキュラーエコノミーを促進することは、環境だけでなく事業面にもメリットがあるのか。消費者はサステナブルであることを重視して、モノを買うのか。

イベントの前半では、坂野氏からサーキュラーエコノミーに対する考え方について紹介があった。

坂野氏:サーキュラーエコノミーは「ただ環境にいいことをしましょう」という政策ではなく、国の経済成長戦略として注目されています。ビジネスの視点から見ると今後、地球から資源がとれなくなるという危機感があるなか、サーキュラーエコノミーのようにずっと資源を獲得し続けられるモデルを構築することはとても大切です。

坂野氏

坂野氏

そして坂野氏のプレゼンにつづく丸川氏による「アイカサ」の事例紹介、ワークショップでの各グループの代表者による発表では、次のようなリアルな声が上がった。

丸川氏:企業さんが、自動販売機を置いたほうが儲かるのにも関わらず、アイカサのためにスペースを空けてくれることがありがたいと感じています。アイカサはJR東日本から出資を受けたりしながら、数年は赤字の先行投資でやっているビジネスです。現在のシェアリング傘の本数は約7,000本ですが、これを最低10万本、もしくは1日10万人使うぐらいの規模にならないと、ビジネスとしてはかなり大変です。

ワークショップ参加者(百貨店勤務):百貨店の場合、サステナブルであることを大々的にうたってもお客さんは商品を買いません。ご高齢のお客さんが多いこともあり、サステナブルであることのメリットが伝わっていません。美味しくてかっこいい商品が、実はサステナブルでもあるというストーリーが伝われば、購入につながると思います。

ワークショップ参加者(ホテルグループ):弊社はホテルのアメニティである竹製歯ブラシを販売していますが、様々なホテルと話を進めるなかで、必ずコストがハードルになります。そもそもアメニティを置かなければコストは下がりますが、それを実行するには宿泊者の理解が必要になります。基本アメニティを置かないという文化をつくり、置く場合は宿泊者への特別なギフトとして扱えたらいいと思います。

坂野氏が言うとおり、サーキュラーエコノミーは国家規模で長期的に見れば経済的なメリットが見込めるものの、現状個別の企業に目を向けるとスタートアップも大企業も、コストのバランスをとるのに苦戦している様子だった。サステナブルであるだけでは消費者に響かないという現状から、今後早急に消費者理解が進むよう望む声が多かったが、サーキュラーエコノミーを推進する際のボトルネックは消費者の意識の足りなさだけなのだろうか。

丸川氏

丸川氏

サーキュラーエコノミーを推進するには、誰が動くべきなのか?

サーキュラーエコノミーへの転換に向けて率先して動くべきなのは、消費者か企業か、それとも行政・自治体か。企業のなかでもスタートアップなのか、大企業なのか。社員なのか、経営者なのか。

ワークショップでの各グループの代表者による発表では、企業と消費者がコミュニケーションを深めながらサーキュラーエコノミーを推進するべきだとする意見が多く見られた。

ワークショップ参加者(IT勤務):企業は、あからさまかつ唐突にサステナブルやエコと言うのではなく、自然な文脈で取り入れる企画を立てるべきです。消費者は、サステナブルな行動を習慣化していけるといい。また、互いにサステナブルでないことを非難するのではなく、インクルーシブな姿勢で、互いのサステナブルな点を誉めあう空気をつくることが大切です。

ワークショップ参加者(ホテルグループ勤務):有名なホテルが率先して取り組んでくれると、サステナブルな取り組みは広がりやすいと思います。メディアや旅行代理店の協力もあると、なお良いですね。

ワークショップ参加者(リテールグループ勤務):消費者が意識を変えるべきだと思いますが、企業が消費者の背中を押すことも大切です。例えば紙のレシートが不要だと思っている消費者がその気持ちを表明できるように、店に専用の箱を設置するなど。

会の様子

また、企業オーナーの意向など、サーキュラーエコノミーを推進する際のハードルは企業内にあるとし、「この点を変えないと進まない」という意見も多かった。

ワークショップ参加者(リテールグループ勤務):サステナブルなモノは高い。そして高いと買わないという消費者の意識に課題があるので、商品にストーリーをつけて理解を促す必要があります。企業の経営者も変わらないといけないのではないでしょうか。

ワークショップ参加者(コスメ会社勤務):弊社は消費者を巻き込んでエシカルな方向に進むために、時間とお金をかけて社員研修を行っています。また、お店が最大のメディアだと考えており、お店の営業を一時停止して社員がデモに参加するなど、自分たちのプラットフォームでお客さんを巻き込んだアクションを起こしています。

トップダウンだからこそできることもある

こういったワークショップ参加者の意見を受け、イベントの主催側である坂野氏やマクティア氏は行政・自治体の重要性にも言及した。

坂野氏:レジ袋有料化は小売業界からしてみれば、政府が言ってくれたから有料化できたという側面があります。消費者の意識が変わることは確かに大事ですが、一方でトップダウンだからこそできることもあります。

マクティア氏:弊社が提供している、どこでも無料で給水できるアプリ「MyMizu」では、サービスをお店に登録してもらうものですが、新しい取り組みであるため信頼を得るのが難しい場合も当然あります。そこで自治体がMyMizuをお店に勧めてくれると、心強く感じます。

ワークショップの発表では参加者に企業勤めの人が多かったためなのか、企業の視点もしくは従業員の視点から見た課題が多く挙げられた。消費者側か企業側か、民間か公的機関か、スタートアップか大企業か、どの立ち位置にいるかによって出てくる意見は変わるのだろう。

イベントの終盤で坂野氏も指摘していたことだが、サーキュラーエコノミーを推進する際のハードルとして、今は消費者と企業が、互いに相手に問題があると言い合っている状況がある。その状況を打開するには行政の力も借りながら、企業と消費者が共同でアクションを起こす必要があるのではないだろうか。誰が先陣を切ってくれるかと互いに様子をうかがっていては、サーキュラーエコノミー戦略の足踏み状態が続くだろう。

【関連ページ】サーキュラーエコノミーとは・意味
【参照サイト】 Circular Economy Club: Circular Cities Week Tokyo Workshop
画像提供:Circular Economy Club

FacebookTwitter