氷点下でもサステナブルに暖かく。ペットボトルを再生したEverlane“ReNew”のアウター

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12月に入り、寒さも本番。筆者が住むニューヨークでは先々週初雪が降った。氷点下の気温表示を見るだけで、ついつい肩がすくんでしまう。しっかりした冬物の上着の出番だ。

冬のアウターウェアの定番といえば、ウールやダウンのコートが浮かぶ人も多いだろう。しかしファッションにおけるサステナビリティとヴィーガニズムのどちらをも重視しようとすると、寒さをしのぐ上着選びも慎重になる。ウールやダウンは自然素材であり、強い染色や加工がされていない100%の混紡・配分であれば、理論上は土に還元することが可能だ。しかしその素材を調達するにあたって、羊の毛やアヒルの羽を採取するという、動物福祉の観点からは疑問を抱いてしまう工程がある。一方で、中綿ジャケットやフリースジャケットなどは動物の犠牲を伴わないが、石油から作られる化学繊維が多く使われる。大気・水質汚染につながる製造過程と、最終的に埋め立てに送られる廃棄物となる点が気になってしまう。

そんなジレンマに揺れる中、どちらの点においても既存の概念を変えるコンセプトであり、そして氷点下のニューヨークの長い冬の寒さに耐えられるジャケットを見つけた。アメリカのエシカル・サステナブルファッションを牽引するブランドEverlaneの“ReNew”シリーズのアウターだ。

エシカルでサステナブルなアパレルブランド“Everlane”

Everlaneは、アメリカ・サンフランシスコを拠点とし、2011年にオンライン限定でスタートしたファッションブランドである。日本語サイトもあり、日本からの注文も可能だ。

Everlaneがミッションとして掲げるのは、以下の3点である。

高い品質

シンプルかつハイクオリティのアイテムを長く愛用してもらうことは、サステナビリティの基幹である。それを実現すべく、厳選した素材と高い製造スタンダードにこだわる。

エシカルなアプローチ

生産を委託している工場を必ず訪れ、工場の経営者と関係を構築するとともに、労働環境・賃金体制がフェアであるかを確認する。消費者に対し、購入商品がどこの工場で作られたものかを明らかにし、さらに、ウェブサイトの「Factories」のページでは、すべての工場の写真を公開している。

透明な価格設定

消費者には、商品が手元に届くまでの間に、実際にいくらかかっているかを知る権利があると考えている。それに伴い、原料・製造・労働・輸送にかかったコストを、アイテムごとに開示している。

ペットボトルから作られた“ReNew”シリーズ

そんなEverlaneが昨冬に販売を開始した“ReNew”は、サステナビリティとヴィーガニズムの、どちらのポイントもクリアしているシリーズだ。世界中に80億トンも存在していると言われるプラスチックを有効に活用すべく、ペットボトルを再生して作られている。

ペットボトルを回収・洗浄し、細かいチップ状にしたのち、繊維に生まれ変わらせる。この再生繊維は、Everlane の布帛(ふはく・伸び縮みの無い織物生地を使った製品のこと)、ニット、フリース、そして上着の中綿など様々なプロダクトで使われる。

例えば以下の写真のフリースのセーターは、32本のペットボトルから作られている。

49本のペットボトルから作られたのは、以下の写真の中綿ジャケット。

筆者は昨年、“ReNew”のジャケットを購入し、すでに一冬を経験済なのだが、氷点下の気温でもまるでダウンかと思うほど暖かく、とても軽いのを実感した。

ReNew1

筆者が愛用している、Everlane“ReNew”のジャケット。

タグには、中綿・ライニング・外側の全てが100%再生ポリエステルで作られていること、そして製造されたベトナムの工場も記載されている。

ReNew3

Everlane は“ReNew”シリーズをウィメンズ・メンズともに展開している。そして2021年までに、商品だけでなくパッケージ、サプライチェーンやオフィス・店舗において、新しいプラスチックの利用を全て廃止すると明言している。

プラスチック再生素材が抱える問題と今後

一方で、ペットボトルから再生した素材には問題点もある。以前紹介した、繰り返し再生することが可能なナイロン素材であるEconyl®のような例は稀で、ほとんどの再生素材は、アパレルに生まれ変わったとしても購入者がそれを長く使用しないことには意味がない。ペットボトルの寿命を少し伸ばしただけに過ぎず、長期的な解決にはならない。むしろ、ペットボトルをペットボトルとして再生した方がループは続き、他のものに変えるより有効的ではないか、という意見もある。

そこで重要になってくるのが、Everlaneがミッションの一つとして掲げている「高い品質」だ。飽きのこないデザインでクオリティの高いプロダクトとして生まれ変わらせることで、一瞬の利用だけのために生まれリサイクルされるか捨てられていく宿命のペットボトルに、長い息を吹き込むことができる。

消費者として、このような取り組みをしているブランドやプロダクトを選ぶことは非常に意義がある。そこからさらに踏み込んで、使い捨てペットボトルから作られたアパレルを「使い捨てない」意識を高めていきたい。

さらには、Everlane以外にもペットボトル再生素材に注目するアパレルブランドは増えているが、ペットボトルのリサイクル率が依然低く、再生素材の供給が需要に追いつかない現状もあるそうだ。ペットボトルの購入を控えると同時に、使用した場合はリサイクルを徹底することが、プラスチック再生・再利用ビジネスのスタート地点であることを忘れないでおきたい。

【参考サイト】ReNew (Everlane)
【参考サイト】Recycled plastic isn’t going to save us