コミュニケーションが鍵。本当にサステナブルな梱包のあり方を考える

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今、人々の関心が特に高まっているのは気候変動に対する意識だ。購買行動が環境に与える影響は、小売業者と消費者の双方にとって大きな関心事である。消費者は、企業がサステナブルで環境に配慮したモノを使用しているかや、製品の製造方法だけではなく、商品の梱包やパッケージ方法、出荷方法にも注目している。

2018年のFast Company社の発表によれば、毎年アメリカでは1650億個の荷物が発送されている。ネットショッピングは購買行動を劇的に変化させたが、それにより何百万という購買者の自宅に梱包資材が蓄積されていくことになった。Forbesによると、小売業者は商品を完全な状態で、確実に届けるよう過剰包装するため、荷物を個々に分けて送る傾向があるという。箱をいっぱいに詰めず、余分なスペースがあるため、緩衝剤として膨らませたビニール袋を詰め込む。確かに、荷物が落とされることはよくあることで、Marketplaceによれば、その回数は1日に約17回にも上るという。

サステナブルな製品の製造から発送の仕方に至るまで、業界を問わず、梱包は企業がサステナビリティを保つための努力をするべき重要な部分だ。今回は、コスメや日用品、食品などのさまざまな業種で、どのようなサステナブルな梱包やパッケージング施策が取られているのかをご紹介する。

【コスメ】環境にやさしい資材から作るよりもサステナブルな「再利用」

デザイン性が重視されているヘアケアやメイクアップ製品は試用期間が短く、すぐに捨てられてしまう。ヘアスプレーの缶はまるごとリサイクルボックスに捨てることができるが、未使用のアイシャドウのケースは、リサイクルできるものと廃棄する部分を分ける必要がある。

今、コスメの小売業者と製品開発者には、使い捨てではない製品の開発が求められている。たとえば本格自然派コスメブランド「Alima Pure」は、100%使用済み再生紙から作られた、大豆が原料の詰め替えケースや箱を試作している。

パッケージだけではない。彼らの製品(コンシーラー、ファンデーション、アイシャドウなど)は、いずれも使い切ったら詰め替えることができる。新しいものを買うよりも詰め替えをする方が確実にプラスチックや化学廃棄物を削減できる。レフィルのある商品は通常高級品で価格が高めのことが多いが、Alima Pureの製品はレフィルを買う方が、新しいものを買うより安い。

化粧品メーカー「The Body Shop」でも、購入者が使用済み容器の回収に協力すると特典がもらえる仕組みを作っている。環境にやさしい資材であっても、製造過程でエネルギーは消費されるため、容器を再利用することは、環境にやさしい資材から容器を作るよりもサステナブルだ。メーカーの収益に影響を及ぼすことなく、消費者に消費を減らすことを啓蒙することが大切である。

Alima Pure

Image from Alima Pure

【シューズ】梱包にまで気を配り、はじめてサステナブルになる

シューズブランドもまた、どのように環境に配慮できるかを考え始めている。廃棄物全体のファッションの占める割合は年間4%で、約9,200万トンにものぼる。一方、靴は製造過程で使用されるゴムと油のため、アパレル業界のゴミの5分の1を占めている。

シューズブランド「Allbirds」のように、サステナブルな梱包について検討している会社は、すでにサステナブルな商品も展開している。彼らの取り扱う靴は、天然素材を使用しており、靴底は油ではなくサトウキビで形作られている。また、梱包で使う段ボール箱は一つで、90%が再利用されたものを使用し、カーボンオフセットも行っている。

もうひとつ例を出すと、シューズブランド「Aldo」は、顧客に靴を送る際、靴が店舗に配送されたときの箱を再利用している。さらに、靴の購入者が不要になった衣類をGoodwillやSalvation Armyなどの団体に寄付する際は、その箱に入れて郵送できる「箱返却プログラム」も行う。これにより、これまで一度使っただけで捨てられていた梱包のゴミを削減することができるのだ。

 Design Milk

Image from Design Milk

【フード】プロセスに透明性を。パートナーから意識を変えていく

多くの消費者は規格外の野菜や果物は味もよくないと思ってしまうため、そうした農産物は廃棄されてしまうのが現状だ。ここでは、規格外のため出荷ができなかったオーガニック食品を販売する「Misfits Market」の取り組みを見てみよう。

Misfits商品の発送に使われる箱は、100%リサイクル可能だ。さらにMisfits Marketは環境にやさしく、かつ商品を保護しながら顧客に配送できるクッション材の開発も行う。空気で膨らませた紙製の保護材はセロハンで覆われているが、他のプラスチック製品と一緒にリサイクル可能だ。Misfits Marketでは、スーパーなどでよく使われるビニール袋の代わりに植物由来の樹脂製の袋も使用しており、この袋も完全に堆肥化可能である。

Misfits Market

Image from Misfits Market

Misfits Marketは、物流のほぼ全工程に関わるソリューションを模索しているが、彼らが携わっているのは実はプロセスの一つに過ぎず、食べ物は同社に届く以前の、主に農園で包装されている場合が多い。

「提携先のパートナーとは、プラスチックは使わないようコミュニケーションをとりながら進めています。そのおかげで、私たちのところに届けられる果物や野菜はまとめて送られてきます」と、同社のマーケティングマネージャーであるHolly Eagleson氏は話す。

同社は消費者の動向に寄り添い、会社としての役割やどのように目標に向かうのかについて透明性を持っている。サステナビリティがトレンドとなり、グリーンウォッシュに陥りやすい今の時代、製品化に至るプロセスや葛藤、成功事例などを公表することは、サステナビリティへ移行することと同じくらい消費者にとってインパクトをもたらす。彼らは、売上だけではなく、プロセスを大切にしていることを消費者に知ってもらいたいと考えているのだ。

Misfits Market

Image from Misfits Market

【日用品】商品が入っている箱の二次利用を促す

日々、家庭で使われる使い捨ての日用品の数々。ラップ、綿棒、生理用品などがその一例である。これらの多種多様な製品も、積もり積もってゴミとなる。

このような製品への関与の仕方を変えようとしているのがスウェーデンの日用品ショップ「A Good Company」だ。「開発には何か月もかかり、失敗をし続けるもの。我々の消費のツケを払わされるのは環境です。環境に配慮しない商品は考えられない」と、創業者兼CEOであるAnders Ankarlid氏は言う。

適切な梱包方法を作り上げることはA Good Companyの基本理念だ。彼らの梱包にはストーンペーパーが使われており、一切テープを使っていない。ストーンペーパーが完璧な解決策ではないが、大きな一歩ではあるだろう。

同社は、会社として梱包やパッケージングに重点を置いた結果、今ではそれらの資材を他社に販売もしている。気候変動との闘いでは誰もが協力する必要があり、A Good Companyは闘いに共に立ち向かう企業を支援している。

Ankarlid氏は「購入者は、商品が届いた箱を再利用している」と、言う。もちろんリサイクルも可能だが、それよりも家庭での整理整頓に役立てたほうがいい。「特にボトル類は二次利用を明確に定義し、トイレやキッチンなどでの使い方も紹介したいです」と説明する。

A Good Company

Image from A Good Company

サステナブルな梱包は今後、必要不可欠になる

気候変動の悪化を防ぐためにできることは多くあり、企業がサステナブルな梱包について考えることはその一つだ。それぞれの企業が自社の商品をどのようなコンセプトで製造しているのかをまだ見直ししていないならば、環境にやさしい梱包を取り入れ、商品に対する消費者の反応を見ることは簡単にできる第一歩ではないだろうか。

梱包やパッケージが環境に配慮したものであるかどうかは今後、消費者が商品を選ぶ際の差別化ポイントではなく、必要不可欠な基準となる。企業が消費者とコミュニケーションをとりながら、商品をいかにサステナブルに変えていけるかが、今後鍵となるだろう。

筆者プロフィール:豊田 亮太(とよだりょうた)氏

豊田さん大学卒業後、当時カナダより日本上陸間近だったShopify Japan(ショッピファイ・ジャパン)の立ち上げに参画。現在はインテグレーテッドマーケターとして「ECを通して多くの人々の生活をよりよいものにする」という企業理念を実現するべく、自社ブログを始めとしたツールなどの日本へのローカライズに奮闘中。