通勤、通学時にコンビニに立ち寄り、ペットボトル飲料を購入する。それは日常の当たり前の風景だ。しかし、ペットボトルの原料は石油であり、大量に生産・消費されるペットボトルが環境へもたらす影響は深刻だ。
ペットボトルの生産量は世界中で年間およそ300万トンにのぼる。日本では、ペットボトルのリサイクル率は生産量全体のうちおよそ8割だが、世界的に見れば、そのリサイクル率はあまり高くない。さらに、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題など、ペットボトルを取り巻く問題は解決が難しいものも多い。
そんな中、オランダのAvantium社が、ペットボトルに使われる石油燃料を削減するため、植物性の材料のみを使ったペットボトルを開発した。この新しいペットボトルの原料は、環境に配慮した方法で栽培されたとうもろこしや小麦などから抽出された砂糖だ。
この植物性のペットボトルは、炭酸飲料に使用することもできる。そしてもちろん生分解可能だ。コンポストを使えばおよそ一年ほどで自然のバクテリアがボトルを分解し、土に還る。また、試験結果によれば、コンポストせず外へ放置したとしても同様の時間で分解されることも示唆されている。
Avantium社の開発したこのペットボトルの試作品開発には、コカ・コーラ社、ヨーグルト製造のダノン社、ビール製造のカールスバーグ社など、世界に名だたる大企業からも支援が集まっている。コカ・コーラ社は、2023年までにこの生分解可能なプラスチックボトルで飲料を販売できるよう希望しているとのことだ。
将来的にAvantium社は、ペットボトルの原料である砂糖をバイオ廃棄物から製造する予定だと発表している。これは、世界的な食料廃棄物問題を緩和し、ボトルの原料となる砂糖の生産が食料供給への影響を起こさないようにすることを念頭に置いたものだ。
今後、この植物性ペットボトルは、オランダ国内のスーパーマーケットにて発売される。さらに、原料となるバイオプラスチックの精製プラントも、2020年末までにオランダ国内に建設される予定だ。パートナーとなる食料品会社も、今年以降発表していくという。
今回の開発で何よりも画期的なのは、ペットボトルが土の中で分解できるようになったことだろう。ペットボトルのリサイクルには、莫大な労力がかかり、その過程にもCO2は発生していく。Avantium社の植物性ペットボトルは、そのCO2すらも削減することが可能なのだ。街のスーパーの風景を一新するこの発明。日本にも上陸する未来が楽しみだ。
【参照サイト】YXY – Avantium
【参照サイト】Carlsberg & Coca-Cola Drinks May Soon Use “All-Plant” Compostable Plastic Bottles
【参照サイト】PETボトルリサイクル年次報告書2019