買う以外の選択肢を。個性を縫い付ける服のリメイクムーブメント「#MendItMine」

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近年衣服の消費サイクルのスピードが速まっている。現在年間800億着以上の衣服が消費されており、これは20年前に比べると400%以上にのぼるという。

その背景には、アパレル産業の生産から廃棄におけるプロセスの問題がある。エレン・マッカーサー財団のレポートによると、2000年から 2015年にかけて服の生産量は倍増した一方、半分ものファストファッション商品が1年以内に捨てられている。 そういった無尽蔵に物を生み出し廃棄するシステムが、環境や労働者に負担をかけることは想像に難くない。実際に、アパレル産業は人間の活動によって排出される二酸化炭素量の10%を排出し、2番目に水を多く消費する産業だとも言われている。

そして、そのようなアパレル産業のシステムに連動するように、ファッション雑誌は毎月新しいトレンドを発信している。焦燥感に駆り立てられてトレンドを追うものの、結果的に自分らしいスタイルとは何なのか、悩む人も少なくないはずだ。

そういったアパレル産業自体の問題と、トレンドに左右されるがゆえにうまく「自己表現」ができない問題の、2つの視点から新たなムーブメントが動き出している。

MendItMine

「Mend It Mine」は、個人が自分らしいファッションを楽しみつつ、できるだけ長く服を着続けて欲しいという想いをもとに、ハッシュタグ「#MendItMine」を使って、メンディングのアイデアを共有するムーブメントだ。Mend It Mineでは、メンディングを、「汚れたり、穴が空いてしまったりした服を直すこと、自由な発想でリメイクすること」と定義している。

代表の杉浦由佳氏は、アパレル産業の問題を知りその解決へ向けて個人ができることとして、まずは家にあるたくさんの服を少しでも長く着る方法を模索した。5年前に買ったスカートをリメイクしてオリジナルなものに変えたり、着ていなかったシャツの襟を取り外し袖を短くすることで家でもラクに着られる服によみがえらせたりと、自身で試行錯誤を重ねた。裁縫を専門的に習ったことはないが、ちょっとしたクリエイティビティで服を救い、廃棄を避けることで、社会に貢献できたと同時に「自分だけの服が初めて手に入った」という特別な気持ちになったという。

Mend It Mine 靴下

また、杉浦氏は海外に滞在した経験から日本の若者が自信を持ち、自分の考えを発信するのが苦手であることに気がついた。若者が意見を言えず、行動を起こすのをためらってしまうことは、新しい社会を作る上での大きな障壁になってしまう。

その中で注目したのがファッションだった。ファッションは、人前での演説や発表よりもずっと気軽にできる自己表現の方法だ。服は毎日着るため、小さな変化の積み重ねが与える影響も大きい。しかし、近年の日本では、自己表現としてファッションを楽しんでいる人が少ないと杉浦氏は感じていた。「奇抜な服を着るのはなんだか気恥ずかしいし、それができるのは本当にオシャレな人だけ。わたしは流行りものを着てなんとなくオシャレになれればいいかな」そんな風に考えている日本の若者は、少なくないのではないだろうか。実際に、店には似たようなスタイルの服が並び、ファッション雑誌はまるでトレンドを広める教科書のようだという違和感があった。

本来ファッションは楽しいものだ。服で自分らしさを出したり、新しい自分になって自信を持てたりする。ファッションを通し、社会の風潮に流されずに自分が言いたいことを表現できる空気を作りたい。そう考えたとき、杉浦氏が大きなポテンシャルを感じたのがメンディングだった。

トレンドの服を買い続けることに疲れてしまった人、環境問題に対して何ができるかわからず立ち止まっている人、自分らしい服を着て自信を持ちたい人、そんな人は、世界中にたくさんいるはずだ。メンディングは意外に簡単にできるもの。ちょっとしたアイデアさえあれば、もてあました服は、自分に自信を与えてくれる服によみがえる。

Mend It Mineのインスタグラムでは、様々なメンディングのアイデアが紹介されており、今後はメンディングのワークショップ等も開催される予定だ。読者の皆さんも、「#MendItMine」のハッシュダクを使ってムーブメントに参加してみてはどうだろうか。メンディングを通して得られる、環境にも優しいオリジナルの一着は、あなたを特別な気分にしてくれるはずだ。

【参照サイト】Mend It Mine
【参照サイト】Mend It Mine – Instagram(English:Mend It Mine Global – Instagram

Edited by Megumi Ito

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