果物の皮から家具をつくる。トルコの循環型スタートアップ「Ottan Studio」

Browse By

今、美しい緑と生物の宝庫である森林の破壊が進行している。世界の森林面積は現在約40.3億ヘクタールで、陸地の31%を占めているが、毎年日本の総面積の7分の1にあたる520万ヘクタールが減少している。

森林面積が減少する一方で、世界には増え続けているものがある。食糧(食料)廃棄量だ。現在世界の食糧廃棄量は年間約13億トン、人が消費するために生産された食糧の約3分の1が廃棄されていることになる。

私たちが直面しているこれら2つの課題を解決するべく立ち上がったのが、トルコのスタートアップ「Ottan Studio」社だ。廃棄された食糧をアップサイクルし、家具や照明、装飾品や建築部材などの製造、販売を行い、商品を1つ売り上げるごとに木を1本植えている。

製品の原料は、地元で収集した果物の皮や期限切れの穀物、残り物の野菜や木の葉や草。「ゴミ」として捨てられてしまう自然のモノの美しさを見出し、自然が持つライフサイクルからのインスピレーションをもとにした製品がつくられている。

製造プロセスは以下のとおりだ。まず、地元の小売業者や生産者、自治体や温室などから食品ゴミと木の葉や草などの緑のゴミを収集し、その後これらのゴミを洗浄・乾燥・粉砕して天然原料を作り、樹脂と混ぜて型に注入する。

使用材料は玉ねぎ、オレンジ、レモン、ザクロ、米、豆、ヤシの葉、キウイなど幅広い。着色剤は使用せず、ゴミそのものが持つ色を活かした自然な色合いでつくられる製品は、どれもがカラフルでユニーク、高品質だ。


Ottan Studio社の目標は、自然を消費せずに自然から何かを作れることを示すこと。木やその他の原材料を使用する代わりに、すでにある大量のゴミをアップサイクルすることで、環境と経済に良い影響を与えることを目指している。また同社は、持続可能な開発目標の17の目標のうち9、12、13、15の4つの目標について、以下のように直接的に貢献をしている。

目標9. 産業と技術革新の基盤をつくろう:
地元生産者のゴミをサーキュラーエコノミーモデルで製品に変換する革新的なインフラストラクチャの基礎を築いている。

目標12. つくる責任つかう責任:
食品と緑のゴミをアップライクルすることで、天然資源の消費を最小限に抑えながら、廃棄物ゼロの生産を行っている。

目標13. 気候変動に具体的な対策を:
木を切るのではなく、販売した製品ごとに植樹し、食品や緑の廃棄物の使用を推奨することで、気候変動とその影響に対して行動を起こしている。

目標15. 陸の豊かさも守ろう:
販売した製品ごとに1本の木を植えて森をつくりだすことで、森林破壊に対抗している。

現在、Ottan Studio社の公式サイトでは廃棄予定だったレンズ豆を使った小物が販売されている。ペン立てやアクセサリーなどの小物入れとして使用でき、柔らかな色合いが印象的だ。

地元で調達できる食品ゴミから家具などの製品をつくり、さらに木を植えることで森林を守るOttan Studio社のサーキュラーエコノミー。同社の洗練された温かみのある製品は、日常の生活だけでなく自然環境の未来にも明るさをもたらしてくれるだろう。自分が購入した製品で木が1本植えられることに思いをはせれば、毎日をもっと楽しく豊かな気持ちで送れそうだ。

【参照サイト】OTTAN
【参照サイト】世界の森林を守るために
【関連ページ】食品廃棄

Edited by Tomoko Ito

FacebookTwitter