CO2を削減。イタリアのデザインスタジオが作成した「簡素化されたWebサイト」

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普段、私たちはインターネットを使うとき、絶えずエネルギーを消費している。そんなインターネット業界は今、もっとも急速に成長しているCO2排出産業であることをご存知だろうか。Sustainable Web Designによると、インターネット業界は現在、世界のCO2排出量の約3.8%を生み出しており、全体の約2%を占める航空業界よりもはるかに多い数値だという。さらに、インターネット業界の再生可能エネルギー使用率は4分の1にとどまる。2012年には世界中に50万ほどだったデータセンターの数も、2019年には800万を超えており、7年間で16倍に増加している。

イタリアのデザインスタジオ「Formafantasma(フォルマファンタズマ)」は、CO2排出量を削減するために意図的に簡素化したWebサイトを公開した。大きな画像を使わず、フォントには一般的に使われるTimes NewRomanやArialを使用。これによりコンピューターやスマートフォンにデータをダウンロードするために必要なエネルギーが少なくて済み、CO2排出量を削減している。デザインは、インターネット百科事典ウィキペディアからインスピレーションを受けているという。

Formafantasma

Image via Formafantasma

サイトの訪問者は背景を基本設定の白以外にも、黒のダークモードに切り替えることが可能。さらに、サイトは再生可能エネルギーを使用してサーバーに電力を供給するプラットフォーム「GreenGeeks」によって管理されているという徹底ぶりだ。

本サイトの構築は、アムステルダムを拠点とするスタジオのオープンと同時に行われ、それに伴って新しいロゴも作成された。ロゴのフォントにも、画像ファイルを新たにダウンロードせずともデバイスに表示可能であるものが使用されている。

Formafantasma

Image via Formafantasma 画像左上が新しいロゴ

Formafantasmaの創設者であるAndreaTrimarchi氏とSimoneFarresin氏は「このプロジェクトは、インターネットによるCO2排出についての個人的な危機感と、問いから始まりました。」と、Dezeenのインタビューで答えている。Formafantasmaはこれまでに持続可能性に焦点を当てた作品を多く生み出しており、昨年度には、Dezeen Awards2020でスタジオオブザイヤーに選ばれた。

デザインにこだわり続けるデザインスタジオが公開した、簡素なウェブサイト。流行を追うのでなく、自分たちの信念に基づいて作品を作り続ける彼らの姿勢からは、「ほんとうに必要なデザインとは何か」を考えさせられる。


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【参照サイト】 Formafantasma

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