海洋ごみを自動で回収・分解。海を守る「第8の大陸」構想とは

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国際自然保護連合(IUCN)によると、現在、毎年少なくとも800万トンのプラスチックが海に流れ込んでいるという。こうした海洋ごみの影響で、毎年10万の海洋哺乳類と100万の海鳥が死に至っている。 海に流入したプラスチックごみの多くは、海流にのって北太平洋の一帯へと辿り着く。それが、およそ160万平方メートルにわたり様々なプラスチックごみが漂っている、「太平洋ごみベルト」と呼ばれる場所だ。

スロバキアのデザイナーLenka Petrákováは、太平洋ごみベルトを「第8の大陸(“The 8th Continent”)」と表現する。そして、このプラスチックごみ問題を解決しようと、同じく「第8の大陸」と名付けた巨大な海洋ステーションの構想を発表した。

The 8th continent

The 8th continent

Petrákováが考案した、巨大な海洋ステーションは、海洋プラスチックごみを収集し、海洋保全を行う、いわば人工大陸だ。

ステーションは、以下の5つの主要部分から構成されている。

①バリア:廃棄物を収集し、潮力発電を行う
②コレクター:廃棄物を分別、分解し、保管する
③研究教育センター:水生環境の問題を研究/紹介する
④温室:植物を育てる/水を淡水化する
⑤居住区:サポート施設を備えた居住区域

ステーションでは、太陽光や潮力による発電で得たエネルギーを利用して、海洋ごみを回収しリサイクル可能な素材に分解を行う。同時に、海洋保全のための研究を行う機能も備えているのが特徴だ。

The 8th continent

The 8th continent

The 8th continent

The 8th continent

この「第8の大陸」は、もともとPetrákováが大学の修士論文で発表したもの。彼女は今回そのアイデアを再構成し、海洋に関する優れた建築物に与えられる“Grand Prix award”の最優秀賞を受賞したのだ。

この「第8の大陸」の利点は、ステーション単体で自律的に持続可能な海洋保護を行えることにある。海洋保護活動では海洋環境についての継続的な研究、実施した活動の評価・検証を行う必要があるが、現状では活動可能な一定数以上の人員を確保し続けるのが難しいという問題があった。

しかし、このステーションではエネルギーを自給自足し、海洋の清掃と環境の研究を同時に行うことで、完全に自律して持続可能な海洋保護活動を行うことができるのだ。

環境問題は、一朝一夕に解決できるものではない。短期的な清掃活動だけではなく、長い目で問題に包括的なアプローチを行っていく必要があるだろう。長期的な視点で環境保護を考える「第8の大陸」のアイデアが実現し、多くの海洋生物にとって有益な結果をもたらすことを期待したい。

【関連ページ】海洋プラスチック問題
【参照サイト】THIS FLOATING ‘CONTINENT’ IS SELF-SUSTAINABLE AND CLEANS THE OCEAN
【参照サイト】8th continent │ Lenka Petrakova

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