古い自転車が、街の便利な移動手段に変身。フランス生まれの電動タイヤ

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2024年までに「職場にも買い物にも自転車で15分の街」計画を掲げているパリ。自転車で移動しやすい街をデザインすることは、自動車利用を減らし、大気汚染や気候変動の対策になるだけでなく、市民が運動の機会を増やして健康になれたり、新しい道を発見できたりと、数多くのメリットがある。

そんなパリの都市計画も背景に、2019年に同国フランスで創業してから徐々に認知を広げているスタートアップの製品がある。それがTeebikeの電動タイヤだ。このタイヤは電動モーターによって回転する仕組みで、どんな自転車にも前輪として簡単に装備することができる。従来の電動自転車にはモーターが重い、技術的に複雑、値段が高いなど、どこか取っ付きにくいイメージがあったが、Teebikeの電動タイヤはそんなイメージを払拭する。パリ市内の使われなくなった古い自転車を回収し、電動自転車に変えているのだ。

タイヤのモーターにはBluetoothが付いており、ユーザーはスマートフォンからの操作で3段階のスピード調整が可能だ。最速25km/hで走行することができ、エンジンを切れば普通の自転車として使うこともできる。バッテリーは付属の充電器をタイヤに接続することにより、4時間以内にフル充電が可能で、走行中は天候、路面状況、ライダーの体重などによるものの、充電が満タンであれば50~80kmは続けてモーターが稼働する。

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Image via Teebike

バッテリーの交換が必要な場合はタイヤをTeebikeに送付すれば、1週間以内に新しいバッテリーに交換して返送してもらえる。Teebikeは、自転車修理を手軽にすることに特化した別のスタートアップ・Cyclofixと業務提携しており、現状フランス国内のメンテナンス体制は整えられている。価格は電動タイヤが795ユーロ、バッテリー交換費用は200ユーロだ。

Teebikeのプロジェクトは、共同創業者であるローラント・デュリユ氏が中国を旅した時に始まったという。中国では一昔前に流行したシェアサイクル事業の撤退を受け、使われなくなった1万台以上の自転車がまとめて置かれている場所が複数存在する。その衝撃的な光景を目の当たりにした彼は、同じ自転車フレームを長く使う一つの手段として電動タイヤの開発に着手した。

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Image via Teebike

交通手段としての自転車利用を促進する動きは世界中あちこちで年々高まっている。アムステルダムやコペンハーゲンのような欧州の自転車都市でも1960年代には「マイカー」を優遇する政策に傾いた時期があったが、1970年代に起きたオイルショックを境に再び自転車がエコな交通手段として復権を果たしてきた。

種々の環境問題への対策として電気自動車もいいが、都市設計まで合わせて誰もが手にしやすい自転車に比重を移していく発想は理にかなっている。最新テクノロジーの活用で資源利用までをもシンプルにするTeebikeの電動タイヤは、モビリティの未来にまた一つ、新たな選択肢を示した。

【参照サイト】Teebike
【参照サイト】How Amsterdam became the bicycle capital of the world
Edited by Kimika

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