栄養失調の子供に寄付できるレトロゲーム

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年間300万。一体何を意味する数字か想像できるだろうか。

これは栄養失調で亡くなる5歳未満の子供の数だ。さらに世界中の子供の4人に1人が、栄養失調に起因する障害を持っている。医学雑誌THE LANCETが発表した調査によると、世界の子供たちの予防可能な死亡ケースのうち、半分は栄養失調によるものだという。人は食事をしないと命が続かない。そんな当たり前のことをわかっていながら、みすみす無力な子供たちを死なせてしまっているのだ。

コロナ禍によりさらに格差が広がり、健康な食へのアクセスが遠のき、もはや「待った無し」の状況である。そこで栄養の問題解決に向けて尽力する機関Eleanor Crook Foundationは、ソーシャルインパクト事業を行う団体Hiveとともに「LifePack」と呼ばれる新たなイニシアチブを発足させた。

LifePackでは、ウェブサイト上に公開された無料の8bitのレトロゲームを通して、明日の食事に困っている子供を助けることができる。横スクロールのこのゲームは、障害物や悪役のキャラクターを避けて貴重な栄養失調治療食(RUTF)を手にすることが目的だ。私たちの「食」への意識を高め、食べ物を子供たちに寄付するよう促している。

ユーザーによる寄付25セントごとに、現実世界でもすぐに食べられる栄養失調治療食(RUTF)が1つ、生活に困っている子供のために購入される。これはピーナッツバターと練乳で作られており、500カロリーある。冷蔵も不要で、長期間の保存が簡単だ。1日に3つ食せば、6〜8週間は子供の命をつなぐことができる。

他にもLifePackはスポンジボブの登場するアプリゲーム「SpongeBob:Krusty Cook-Off」と提携し、ゲーム内での課金行為が、そのまま寄付となる仕組みを作り上げている。

IDEAS FOR GOODでは、過去にもVRゲームの村の中で直接寄付ができる事例を紹介しており、今回もゲームを通して社会課題の解決に結びつけるゲーミフィケーションの好例といえるだろう。

どんなに苦しんでいる人がいても、万人が自分ごととして受け止めるマインドを持っているわけではない。人は苦しいことを避けて、心地よいことを求める性質が、そもそも備わっている。そこで、ゲームという娯楽を提供し、楽しみながら寄付をしてもらう経験を「LifePack」は提供しているのだ。

テクノロジーがますます進歩し、それを応用するゲーミフィケーションは、社会のさまざまな場面で、課題を解決する可能性を秘めている。

【参照サイト】LifePack
Edited by Kimika

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