インドで始まった、誰でもリジェネラティブ農場を所有できる投資プログラム

Browse By

新型コロナウイルス感染症のもたらしたパンデミックにより、都市の脆さに気づき、これからの自然との関わり方を考えるようになった人は多いかもしれない。たとえば「農地を所有して自分で野菜を育てたい」と思ったとき、「どこに、どの程度の広さの農地を買えばいいのか」「良い土壌とは」「どうやって苗木を植えるのか」など、考え事は尽きない。「いずれは自給自足したい」と思っていても、農業にそこまでの時間と労力を割けないという人も多いだろう。

そんなジレンマに応えているのが、農地の管理事業を展開するインドのアグリテック企業「Hosachiguru」だ。同社のプロジェクトでは、バンガロール郊外の農地を0.25エーカー(約1000平方メートル)から購入し、農地の近くに住まずとも、購入者がそこで育てたい木や農作物を育ててもらうことができる。たとえば将来的に売るために白檀の木を育てたり、自分用の果物や野菜を育てたりすることが可能だ。Hosachiguruは農地の日常的な管理を行い、作物を育て、収穫した作物を自宅に届けてくれるので、生活に必要な食料を自分の農地でまかなうことも夢ではない。

同プロジェクトは、購入した土地の値上がりを期待したり、木材価格の上昇を見込んで木を育てたりと、投資先のひとつとして考えることもできる。しかし、Hosachiguruの共同創業者であるスリナス・セティ氏によると、世界がパンデミックに襲われた2020年以降、投資的観点からというより「暮らしに自然を取り入れたい」というニーズを持つ人たちからの問い合わせが急増しているという。

同社ではこういった自然派志向の人たちのために、農地の近くに、週末のお出かけにも最適なリトリート施設を設けている。ここでは牛や羊などと触れ合えたり、サイクリングやキャンプを楽しめたりする。また、希望する人はファームハウスやコテージを建てることもできるため、そこで仕事をしたり、子どもがオンライン授業を受けたりと、まさに第二の家として使うことができるのだ。

同社は有機栽培などを通して土壌の健康を改善するとしており、土壌のCO2吸収量を増やすリジェネラティブ農業を実践している。農地の所有者はカーボンオフセットに取り組めるうえ、農地で働く人の雇用創出にも貢献できるのだ。

Hosachiguruによると、単独の農地1エーカーを維持管理するには年間30~50万ルピー(約45~75万円)かかることもあるが、同社ではスケールメリットを生かして、農地の購入にかかる初期費用および管理費を最大70%削減することができるという。農業従事者ではないのに農地を買うというのは突飛な発想に思えるかもしれないが、緑豊かな地球を残すためにも、様々な人に門戸が開かれてほしい。

【参照サイト】 Agricultural Asset & Farmland Management Company Bangalore (hosachiguru.com)

Edited by Erika Tomiyama

FacebookTwitter