報道の自由を。ゲームの中にできた「検閲されない図書館」

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日常生活の中で、意味を知らない言葉が出てきたときや、ふと「なぜ〇〇なんだろう?」と疑問に思うことがあったときは、インターネットで検索する、俗にいう「ググる」のが一般的だ。その語源になっているGoogleの利用が、政府や当局によって制限されている国があるのをご存知だろうか。

今、さまざまな国や地域で、ウェブサイトやSNSの規制が行われており、権力者にとって都合の悪い情報が報道がされずにいる現状がある。恣意的な情報操作によって人々の意見や価値観が形成され、それが「コントロールされた(権力者に都合のいい)」行動につながっていくのだ。国境なき記者団(RSF)のウェブサイトでは、サウジアラビア、ロシア、ベトナム、メキシコ、エジプトのジャーナリストが「自国に報道の自由がない」と訴えかけている。

報道の自由は、民主主義を形成するための権利だ。そこで活用されたのが、世界的人気のゲーム、マインクラフト(Minecraft)。マインクラフト内にできた仮想図書館「The Uncensored Library(検閲のない図書館)」は、現実世界ではあまり報道されない情報を、ゲームコンテンツである「本」という形で実装し、読めるようにする発想である。

検閲されない図書館

Image via Reporters Without Borders Germany

この図書館を企画したのは、国境なき記者団。チームは、政府が権力者に都合の悪い情報コンテンツを監視するのを防ぐために、ブロックチェーンクラウドストレージを使用して、マインクラフト内に仮想ライブラリを配置することに決めた。システムでは匿名性が確保され、記者たちの安全が守られることも特徴だ。

若者を中心に世界的な人気を誇るゲームを使うことで、より多くの人に情報が届けられる。厳しい報道検閲規則のある国でもインターネットの検閲の手が及ばず、記者たちが独立した立場でさまざまな情報を発信できる。

情報を受け取る側もゲームを楽しみながら、社会情勢などのさまざまな情報に触れることができる。将来を担う若者たちが、開かれた情報にアクセスできるというのは、かけがえのないことだ。

マスコミュニケーションが発達した20世紀は、事務所を構える少数のマスメディアを規制すれば、情報統制は大きな効果を発揮した。しかし、インターネットやブロックチェーンなどが登場し、無限に人や情報とつながることのできる今、それらが市民の権利を守り、拡大するためのツールになっている。テクノロジーを使ったソーシャルグッドな取り組みに今後も期待したい。

【参照サイト】The Uncensored Library. The digital home of press freedom.
Edited by Kimika

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