報道規制と戦う国境なき記者団、検閲を逃れるため記事を音楽にして配信

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ネット検閲が世界中で強化されている。つまり今でも多くの国々で、ブログやニュースサイトにアクセスして情報に触れる自由が奪われているのだ。報道の自由を求めて活動する国境なき記者団のドイツ支部は、3月12日のWorld Day Against Cyber Censorship(世界反サイバー検閲デー)に、こういった国々の検閲を逃れるための抜け穴をつくった。

その抜け穴の名は「The Uncensored Playlist(検閲されないプレイリスト)」。これは検閲の対象となる記事を音楽に乗せ、Apple Musicなどの音楽配信サービスで、無料で配信するプロジェクトだ。報道の自由を抑圧する政権の多くはソーシャルメディアや検索エンジンを規制する一方、音楽配信サービスは意外と野放しにしている。このことに気が付いたPR会社、DDBベルリンが国境なき記者団にアイデアを持ちかけ、実現に至った。

The Uncensored Playlist

Image via The Uncensored Playlist

禁じられた記事を音楽にして、こっそり配信する国として選ばれたのは中国、べトナム、ウズベキスタン、タイ、エジプトの5か国。いずれの国も報道の自由を厳しく制限しており、国境なき記者団が発表した世界報道自由度ランキング2018によると、中国の自由度は180か国中176位、ベトナムは175位、ウズベキスタンは165位、タイは140位、エジプトは161位となっている。

そしてこれら5か国を代表するジャーナリストとして選ばれたのが、政府による厳しい検閲を受けた経験のある人たちだ。まず中国からは、ドイツに亡命中のChang Ping氏。政治的な話題に言及したり、人権問題に取り組んだりしたため中国政府から睨まれたという。同じくドイツに亡命しているのが、ベトナムのBùi Thanh Hiếu氏。共産党がメディアを支配する同国で、2005年から国の腐敗について書いていた。

中国のジャーナリストChang Ping氏 Image via The Uncensored Playlist

亡命せずに自国に居続けているジャーナリストもいる。ウズベキスタンのGalima Bukharbaeva氏は、独裁者と批判されたIslam Karimov大統領が2016年に亡くなった後も弾圧が続く状況と戦っている。エジプトのBasma Abdelaziz氏は、2011年以降10人のジャーナリストが殺された同国で、自由な見解を発信し続けている。

タイからは個人ではなく、オンラインのニュースメディアPrachataiが参加している。このジャーナリストたちに、自分の仕事や自国の状況を象徴する記事を2つずつ選んでもらい、音楽ディレクターのLucas Mayer氏の協力のもと計10記事を曲にした。

The Uncensored Playlistは現在Spotify、Apple Music、Deezerで配信中だ。人は真実を知る権利があり、情報にアクセスする自由を奪われてはならない。ジャーナリスト兼ミュージシャンたちの力強いメッセージが伝わるプレイリスト、ぜひ聞いてみてはどうだろうか。

【参照サイト】The Uncensored Playlist
(動画:MediaMonksより)