防災を、日常に。今日からできる3つのアイデア

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東日本大震災が起きた2011年3月11日から11年がたつ。毎年この時期に頭をよぎる、「防災」の二文字。11年前に抱いた「日々の備えが大事」という気持ちを、今も変わらず持ち続けられている人は一体どれほどいるだろうか。

日本は世界有数の災害大国ともいわれるが、災害といっても地震や津波、火山噴火などの自然災害から、交通事故や火災、テロなどの人為災害までさまざまだ。

そんないつ起こるかわからない災害のために「備える」ことは簡単ではない。民間企業が行ったある調査によると、災害の対策をしている人は回答者の約半分程度、残り半分のうち9割は「必要性を感じながらもできていない」と回答している。(※1)

ならば防災を、日常の中に取り入れてみてはどうだろうか。今回は、そんな今すぐに取り組める防災アイデアを3つご紹介する。

01. 災害時だけでなく”日常”も豊かにしてくれる、フェーズフリーのアイデアを取り入れる

身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立てるフェーズフリーという考え方をご存じだろうか。

フェーズフリー商品のポイントは「日常の中でついそばに置いておきたくなるモノ」であることだ。デザイン性の高いフェーズフリー商品は、災害時に役立つだけでなく、日常生活のクオリティまでも向上させてくれる。

フェーズフリー

Image via フェーズフリー協会

また、日常で使っていない防災用品を、いざというときに使いこなすことは難しい。フェーズフリー商品の場合、普段から使っているので、非日常時も慌てずに使うことができるのが利点だ。ここでは、3つのフェーズフリーの考えを取り入れた製品・アイデアをご紹介したい。

災害時は計量カップになる紙コップ(アスクル)

アスクル

Image via アスクル

ストックホルムを拠点に世界的に活躍する総合デザインスタジオ「Stockholm Design Lab」がデザインした、日常を彩る紙コップ。紙コップの外側に印字されたカラフルなデザインにより、災害時には計量カップとして機能する。目盛りは、「合」「カップ」「m/cc」の3種アソート。避難所や屋外でお米や水、粉ミルクの軽量に役立つ。FSC認証紙を使用。

さらに、災害支援活動に貢献するため購入金額の3%を活動等の支援のため、公益社団法人シビックフォースへ寄付している。

フェーズフリー発想のオフィスづくり(コクヨ)

コクヨのフェーズフリー認証製品には、あらゆるシーンに対応するコンパクトテーブル「MULTIS(マルティス)」や、空間を区切り、簡単に持ち運び可能なホワイトボード機能付きパネル「GRABIS(グラビス)」、止水加工で組合せ自由なロビーチェアー「SOLOS(ソロス)」がある。

コクヨ

Image via コクヨ

たとえばマルティスは、日常時には限られたスペースを活用しながら人数設定や利用スタイルをその場で変えられるため、コミュニケーションを促進する空間を作ることも集中できる空間を作ることも可能。災害時には、プライバシー保護のために空間を仕切ったり、仕切り飛沫感染対策のため、蜜を避けるレイアウトを組んだりすることもできる。

日常でも使い勝手がよく、オフィス生活を豊かにしてくれる家具が、実は災害にも私たちを支えてくれるのだ。

まちの役割を変化させる『まちへん』

2021年に行われた、フェーズフリーアワード2021。すでに世の中に存在する「事業部門」と、まだ具現化されていないアイデア段階の「アイデア部門」の2部門で応募作品が集まった。ここで紹介するのは、その中のたつのソーシャルインクルージョンプロジェクトによるアイデア部門受賞作品『まちへん』だ。

まちへん

Image via フェーズフリーアワード

フェーズフリーアワード

Image via フェーズフリーアワード

まちへんは、安心安全な在宅避難を推奨しつつ、社会的孤立等の弊害を緩和することを目的に、日常・非日常に関わらず、まちが異なる意味と役割へ自在に変化し、互いに補完し合いながら住民を包摂できるコミュニティデザインである。

まちへんに参加する事業者は、たとえば食料品店であれば災害時に食べ物保管庫に役割を変えること、銭湯であれば災害時に市民の水場になることなど、非常時に派生可能な変化を日常的にステッカーで可視化する。

日常の生活場面で地域のまちへんの表明を目にしていることで、いざというときに、事業者とすぐにつながることができ、迅速な気づきと孤立不安を緩和することができるのだ。

02. アウトドアを楽しみながら、生きるすべを身につける

2018年の日本のキャンプ人口は850万人にのぼり、いま新型コロナをきっかけに、人々のキャンプへの注目度が高まっている。アウトドアを通して、災害時にも役に立つ“生きるためのすべ”を発信しているのが、2021年3月に『キャンプ×防災のプロが教える 新時代の防災術』という本を出版した、アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんだ。

寒川さんは、キャンプ人口が増える分だけ、火をおこしや浄水など、自分の衣食住を立てられる技術を持っている人が増えるとし、道具とスキルを身につけるためのノウハウを学べるワークショップを開催したり、アウトドアライフ企業「UPI」として防災にもキャンプにも役立つキャンプ用品の開発も行ったりと、新時代の防災術を広め続けている。

 

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週末のキャンプに出かける際にも、「もしも」の場面を意識しながら火起こしを練習したり、水の浄水にチャレンジしたりすることで生きる術が身につき、いざというときに私たちを助けてくれるスキルとなるだろう。

03. 生きていてほしい人に防災用品を”贈る”

ヤフージャパンが運営するエールマーケットでは、「生きていてほしい人に防災用品を”贈る”」「遠くに住む大切な人に防災用品を”送る”」という習慣が世の中に根付くことを目指し、3月11日を「おくる防災の日」に制定している。(2021年2月一般社団法人「日本記念日協会」登録)

同サイト内では、日常の生活が快適になり、災害時にも役立つ「いつもともしもに寄り添う」ギフトを厳選し、紹介している。おくる防災の日をきっかけに、大切な人に日頃の感謝を伝えてみてはいかがだろうか。

いつくるかわからない災害を自分ごとに

いかがだっただろうか。日常で身近に置くものを災害時にも役立つものに変えたり、週末のアウトドアの趣味も意識をかえるだけで、いざというときのスキルを備える機会になったりする。

モノだけではなく知識面においても、危険な場所を知らせてくれるハザードマップなどを日頃から確認しておくことも大切だ。国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」や、それぞれの自治体のハザードマップなどから、自宅近くの危険度を知ることができる。

他にもIDEAS FOR GOODでは、防災セットがなくても身近なもので対応できるライフハック術もまとめている。日常のスキマ時間に目を通すだけでいい。知ることで、守れるものが増えるのだ。普段はあまり防災について考えることがない人も、3月を機会にまずは身近にできることから始めてみてはいかがだろうか。

【まとめ】災害時に。身近なものを活用するライフハック術

※1 株式会社FLIE
※2 日本オートキャンプ協会による「オートキャンプ白書」2019
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【参照サイト】 フェーズフリー協会
【参照サイト】 UPI公式サイト

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