CO2で飛行機を動かす、ポルトガル生まれのクリーン燃料

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航空機は便利な乗り物だが、鉄道よりもはるかにCO2排出量が多い。これは、格安航空機網が発展した欧州にとっては、頭を悩ませる問題の一つだ。そうした問題を解決するために生まれた新しいクリーンな燃料が「eFuel」である。

eFuelは、水を電気分解して発生させた水素と二酸化炭素を触媒反応で合成した液体燃料だ。しかも、そこに使われる二酸化炭素は大気から抽出したものや、工場など産業から出たもののみが使用されている。そうすることで、最終的な二酸化炭素排出量と吸収量を同値にすることができる。

今回紹介するポルトガルのeFuelの事例「Waste-to-Jet」プロジェクトは、廃棄物事業を手がけるLIPOR社、eFuelの製造を行うP2X Europe社、グリーンエネルギー推進団体であるVeoliaによるコラボレーションのもと行われている。リサイクルできない廃棄物を使った欧州初のeFuel開発プロジェクトだ。

彼らはごみから電力などエネルギーへ変換する工場にて、再生可能エネルギーを使い、電気分解した水から発生した水素と二酸化炭素を合成してジェット燃料を作ろうとしている。これが成功すれば、ポルトガルは欧州で唯一の合成eFuel製造工場を持つことになる。

プロジェクトの第一段階では、最大10万トンの自然から排出されたCO2が回収され、eFuelに変換されるという。また、この製品の最終ゴールは、ジェット燃料やロケット燃料への製品の応用だ。

ポルトガルは、2050年までにカーボンニュートラル達成を掲げている。LIPORのCEO・José Manuel Ribeiroは『Circular』のインタビューにおいて、「廃棄物管理システムが経済の脱炭素化とカーボンニュートラルにどのように貢献できるかを示す良い例になるだろう。」と答えている。

温室効果ガスの削減や除去には限界がある。そのため、排出された温室効果ガスを回収、貯蔵、利用することはこれからの地球環境のために非常に重要だ。また、都市部がさらに拡大することを考えると、「循環」からどうしても外れてしまう廃棄物をその輪に組み込んでいくための視点が欠かせない。

日本でもトヨタや日産などの自動車会社がeFuel開発に力を注いでいる。日本でもこうしたクリーンな新燃料が使われるような時代がやってくることは間違いないだろう。

【関連記事】Carbfixに聞く、脱炭素社会に向けた「炭素固定技術」の可能性【ウェルビーイング特集 #4 脱炭素】
【参照サイト】Project to ‘transform’ municipal waste-derived CO2 into aviation fuels in Portugal
【参照サイト】About LIPOR
【参照サイト】Veolia
【参照サイト】P2X
【参照サイト】パワー・ツー・リキッド製造による「持続可能な航空燃料」の世界初の量産スタート(ドイツ)JETRO
【参照サイト】トヨタ・日産・ホンダが本腰、炭素中立エンジンに新燃料e-fuel
Edited by Megumi

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