無作為抽出によって選ばれた市民が、気候変動対策について話し合う「気候市民会議」が、世界各地で開催されている。そんななか、アイルランドで開催されたのが、「生物多様性の損失に関する市民会議」だ。
2022年11月に開催された同会議では、「生物多様性を守るための憲法改正の是非を問う、国民投票を実施する」という提案に、圧倒的多数が賛成した。もし憲法改正が実現すれば、人間にも自然にも影響が及ぶ可能性がある。
The Citizens’ Assembly on Biodiversity Loss has voted overwhelmingly to recommend that there should be a constitutional referendum to amend the Constitution with a view to protecting biodiversity | Read more: https://t.co/equAa22pgv pic.twitter.com/yvMSrLDLtP
— RTÉ News (@rtenews) November 27, 2022
たとえば、空気や水などの「自然」は人間のように、生まれながらの権利を持つようになるかもしれない。自然が生存・繁栄・永続する権利、自然環境が劣化したときに修復される権利、そもそも自然環境が劣化しないよう守られる権利など、さまざまな権利が考えられる。
行政上の意思決定や訴訟などの際、自然が当事者として関わる権利も誕生するかもしれない。自然は人間の言葉を話さないが、公害訴訟など自然環境に被害が及ぶ案件の場合、人間が自然の声に耳を傾けることが求められるだろう。
人間は、安全で健康的な自然環境のもとで生活する権利を得られるかもしれない。現在世代だけでなく、将来世代も視野に入れることが大切だ。環境に関する情報にアクセスしたり、意思決定に参加したりする権利も保障されるかもしれない。
気候変動対策について話し合う気候市民会議と、生物多様性について話し合う市民会議の内容を、互いに共有し、次の話し合いに活かしても良さそうだ。気候変動と生物多様性の問題は絡み合っている。生態系を修復して気候変動に対するレジリエンスを強化するなど、一緒に取り組むべきことが多い。
「現状を変えなければ」という強い気持ちが現れた、アイルランド国民からの提案。「森や空気などの自然に、法的権利を与えるべき」という意見について、あなたはどう思うだろうか。
自然破壊を防ぐために、人間の倫理観に訴えるだけでは、もはや不十分なのだろうか。
【参照サイト】Call to protect biodiversity and nature in Constitution
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