社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、フランスのコンドーム無償化や、「1日1分間の激しい運動が、寿命を延ばす」研究などをご紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01. ウガンダがエボラ出血熱流行の終息を発表
東アフリカのウガンダ。2022年9月にエボラウイルス出血熱の「スーダン型」の最初の症例が発見され、50名以上の死亡者が出た。そんなウガンダで、今月この流行の終息が発表された。
政府と地域コミュニティが連携し、感染者のモニタリングや接触者の追跡、ロックダウン、感染予防などの対策をすることにより、わずか4か月でみるみる感染者が減り、流行は終わりを迎えたのだ。感染症の対策として、これ以上ない結果と言える。
【参照サイト】‘A great day for the country’: Uganda declares an end to Ebola outbreak
02. オーストラリアのビーチのプラスチックがほぼ3分の1に減少
世界的にプラスチックごみの問題が深刻さを増すなか、オーストラリアで行われた調査では、ビーチに捨てられるプラスチックの数が2013年の調査時点と比べて3分の1に減少したことがわかった。
調査を行ったオーストラリア連邦科学産業研究機構は、563の新しい沿岸調査と、オーストラリアの32の地方自治体の廃棄物管理者へのインタビューを経て、効果があるのは以下の三つだと結論づけている。
- 計画的な行動:リサイクルガイド、情報および教育プログラム、清掃イニシアチブなどの戦略
- 犯罪防止:地方自治体による不法投棄の監視や海岸清掃などの廃棄物管理戦略
- 経済的合理性:路上廃棄物やリサイクル収集、硬い廃棄物の収集、買い物袋の禁止などの行動
【参照サイト】Plastic on Australia’s beaches cut by almost a third
03. 「オゾン層はゆっくり回復している」専門家が報告
世界気象機関やWHO、国連環境計画など複数の機関が合同で行った調査では、2023年1月、極地を除く世界中のオゾン濃度が、2040年頃には1980時点のレベルに戻ると予測していることが明らかになった。
シンガポール最大の新聞The Straits Timesは、1987年に採択されて以来ずっと取り組まれてきた「モントリオール議定書(※1)」の成功だとしている。
※1 世界中のすべての国が、皮膚がんに繋がりうる放射線から地球を保護しているオゾン層を破壊する物質(フロン)の生産を停止、貿易を削減することに合意した議定書
【参照サイト】Scientific Assessment of Ozone Depletion 2022 Executive Summary
04. 佐賀大、アトピーの痒みの原因とその阻害剤を発見
日本からも良いニュースだ。佐賀大学は1月10日、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚組織で作られる「ペリオスチン」が、知覚神経に作用して痒みを引き起こすとともに、その阻害剤が痒みを著明に改善することを、FADSマウスを用いた研究により見出した。
全国で多くの人が苦しむアトピーの痒みのメカニズムが解明され、さらに解決のヒントとなり得る要素まで出てきたのは本当に大きな進歩だ。
【参照サイト】アトピー性皮膚炎の痒みの原因を解明するとともに、その阻害剤を発見
05. ガーデニングは、がんのリスクも心の病みも減らす
アメリカ・コロラド大学ボルダー校の新たな研究では、ガーデニングの大きな効果が明かされた。がんを含めたさまざまな病気のリスクを軽減し、適度な運動によってストレスや不安を和らげ、さらに社会ともつながるきっかけにもなるというのだ。
普段ガーデニングを行なっていない、平均年齢41歳の291人を対象に行った調査によると、そこから半年間ガーデニングを行なったグループは食物繊維の摂取量が1グラム以上、身体活動の時間が42分増加、そして全体的なストレスレベルの低下が認められたという。
本格的なガーデニングができる人は限られているものの、こういう結果があると少しモチベーションが出てきそうだ。
【参照サイト】Gardening Could Help Reduce Cancer Risk, Boost Mental Health and Bring Communities Together