ロンドンで注目される、食品廃棄グラノーラ。実際に買って食べてみた!

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日本における一般家庭から出る食品廃棄量は244万トン(※1)、その内、厚くむき過ぎた野菜の皮など、不可食部分を除去する際に過剰に除去された部分、過剰除去の量は34万トンにも及ぶ(※2)

自宅で料理をする人にとって、野菜や果物の皮や芯といった調理くずの処理は悩みの種だ。地球に負荷なく、ごみの出ない方法で調理ができたなら食事はもっと楽しめるにちがいない。

そんな日常の小さな罪悪感をなくしてくれるグラノーラが英国で販売されている。自称「チョコレート中毒」で「食べもの執着者」のクロエ氏は、2015年に無駄のないアップサイクルレシピを紹介するブログをスタート、2018年にnibs etc.(以下二ブズ)を設立し、食品廃棄を活用するグラノーラを販売している。今回はそれを実際に買って食べてみた感想もご紹介したい。

二ブズのグラノーラは、英国人が愛するりんごのお酒「シードル(英国ではサイダーと呼ばれる)」やジュースを製造する際に出る、りんごの芯や皮、種にいたるまで本来廃棄される原材料を業者から調達し、美味しいグラノーラに加工して販売している。味は「オーツ、アーモンド、ハニー」「ライ麦、ココナッツ、カカオ」「大麦、スペルト小麦、クルミ」の3種類。どれも食物繊維、タンパク質が多く含まれ、低糖質だ。りんごは品種によって収穫できる時期が異なるため、見た目や味が季節によって微妙に異なるというが、それもまたこのグラノーラの特徴として楽しむことができる。

Image via nibs etc.

さらに、購入者がサステナブルな習慣を無理なく続けられるよう、二ブズはサブスクリプションシステムを導入している。消費者はオンラインサイトからお気に入りの味と配達の頻度を選ぶことができ、わざわざ店舗へ買いに行く必要がない。グラノーラを使ったレシピをSNSやホームページで公開し、消費者に「飽きさせない」工夫をしている点もユニークだ。

Image via nibs etc.

さて、これまで商品やビジネスについて紹介してきたが、食品である限り気になるのは味だろう。美味しくないと意味がない。

今回、筆者はニブスの商品を購入し、実食してみた。ニブスのグラノーラはオンラインの他、一部のオーガニックスーパーなどで手に入れることができる。価格は一箱360gで6.99ポンド(約1,200円)。英国の一般的なスーパーでは他のグラノーラが500gあたり2ポンドから5ポンドで販売されていることを考えると、やや高価な印象だ。

購入して気づいた点は商品のパッケージにもとことんこだわっているということ。箱を開けた瞬間に現れる「外箱はリサイクル、中の袋はコンポストしてください」のメッセージに思わず笑みがこぼれる。

筆者撮影

実際に食してみるとどちらの味も甘さは控えめだが、ザクザクとした食感とふんだんに入ったナッツのおかげもあり、少しの量でも十分な満足感がある。素材本来の味を楽しみたい人にとってはそのまま食べても十分に美味しいが、個人的には口に残る繊維質が少しだけ気になった。

筆者撮影

全体的に満足度は高いものの、英国中で広く普及していくには価格や口当たりにまだ課題があるようにも感じられる。しかし、街中のスーパーをはじめ手に取りやすい場所にこうした選択肢があることは、ロンドン市民にとって良いことだろう。ブランド名「nibs etc.」の中に「etc.(などなど)」というフレーズが含まれているように、今後のブランドのさらなる成長や、新しい取り組みへの可能性に期待したい。

※1 農林水産省1.食品ロス量(令和3年度推計値)
※2 環境省食品ロスポータルサイト
【参照サイト】nibs etc.
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Edited by Megumi

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