梅雨が終わり、夏が近づくと気になり始める、紫外線。適度な日光浴はビタミンDの生成や「幸せホルモン」とも言われるセロトニンの分泌など、私たちの心身に良い影響がある一方で、長期間にわたり紫外線を浴び続けるとシミやしわができるほか、癌になるリスクもある(※1)。
そうしたリスクを避けながら、太陽の下で健康的に活動するための対策の一つに「日焼け止め」がある。お店の棚に並ぶ数え切れない商品の中から、あなたは何を基準に選んでいるだろうか。環境問題に関心のある人や、特に海を愛する人にとって、日焼け止めの「成分」は大きな選択肢の一つだろう。
近年、日焼け止めに含まれる化学物質が、海洋生態系に致命的な影響を与えることが証明されている(※2)。たとえ少量であってもサンゴ礁の白化現象や海洋生物の遺伝子損傷を引き起こすと言われているのだ。一方で、毎年最大14,000トンもの日焼け止めが世界中の海に流れ込んでいる。2030年までにサンゴ礁の90%が機能的に絶滅するとも言われていることからも、海洋汚染が急速に進んでいることは容易に想像できる。
現在、美しいビーチを持つ都市を中心に、海洋生物の存続を脅かす有害な日焼け止めの使用規制の動きが広がっている。この規制も後押しして、紫外線吸収剤など規制の対象となる化学物質を含まないノンケミカルの日焼け止めが多く見られるようになった。
環境に優しい日焼け止めは数あれど、このたびサンゴ礁に栄養を与える日焼け止めが登場した。それが「Reef Relief(リーフ・リリーフ)」だ。
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2年の月日をかけて開発されたリーフ・リリーフは、サンゴに安全で、人を紫外線から守ることに加えて、サンゴの繁栄を助ける栄養素を含んでいる。イギリス・ダービー大学のマイケル・スウィート博士による6か月間のテストでは、日焼け止めが一部の種のサンゴの成長を最大8%促進できることがわかった。
現在、リーフ・リリーフの販売開始に向けて消費者テストの段階にあるという。製造過程や私たちの手に渡るまでのカーボンフットプリントにも気を配る必要はあるが、リジェネレーションにつながる製品が市場に出回ることは大きな意味を持つだろう。
これまで私たちが壊してしまった地球を、私たちが治し、再生していく。時間はかかるだろうが、人も環境もどちらも守り、促進していく商品がつくられ選ばれていく未来が近づいているかもしれない。
※1 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
※2 Stanford University Stanford Report – Understanding how sunscreens damage coral
【参照サイト】Reef Relief website
【参照サイト】Trend Watching – Not just reef-safe, Reef Relief is world’s first sunscreen to nourish coral
【参照サイト】BBC NEWS JAPAN – パラオ、有害成分含む日焼け止めを全面禁止 世界初
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