社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月後半の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、「アメリカで最も空気が汚れた街」が努力の末に「北米初の国立公園都市」になったことなどを紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01. アプリでうつ病を解消できる?世界最大の臨床試験
京都大学の教授らが、うつに効果的とされる認知行動療法のスキルを向上させるアプリを開発し、その効果を検証する世界最大の臨床試験を行った結果、うつ状態の改善に大きく役立つことがわかった。
開発されたのは、スマートフォンを使って自学自習できるアプリ「レジトレ!®」。閾値下うつ(※)状態の成人3,936名を対象に、認知行動療法の5つのスキル(⾏動活性化、認知再構成、問題解決、アサーション、睡眠⾏動療法)の個々のスキルおよびその組み合わせを6週間提供する実験を行った。
スマホアプリによる介⼊と評価を通じて、実⽣活環境下でのうつ不安症状に対する効果を検証した結果、すべてのスキルがうつ状態を改善しており、この効果は26週間後においても持続した。この研究成果は、2025年4月に国際学術誌「Nature Medicine」にオンライン掲載されている。
※ 抑うつ症状があるものの、うつ病の診断基準を満たさない状態
【参照サイト】レジトレ!
【参照サイト】スマートフォンで学ぶ5つの認知行動スキルがうつ状態を改善─世界最大の臨床試験で解明─ | 京都大学
02. 熱いものを冷ましてくれる「猫舌フーフー」国内外で話題に
可愛らしい猫型のロボットが、食器のフチに引っかかりながら、一生懸命に熱い食べ物や飲み物をフーフーしてくれる。そんな製品が、忙しい家庭の朝の時間を救うかもしれない。
ユカイ工学と東洋製罐グループホールディングスのコラボレーションで生まれた製品「猫舌フーフー」。実際に体験した家庭では、普段はなかなか食卓に向かってくれない子どもが、たまに動く耳や、「にゃーにゃー」という鳴き声に興味を持ち、自ら席に座ってくれることも。家事や介護などでのちょっとしたストレスの減少や、食卓でのコミュニケーション増加が期待できる。
製品のクラウドファンディングが日本向け・海外向け両方で行われており、どちらも目標金額に達していた。ユニークな発想で家庭が楽しくなる製品に、日本国内外から期待が寄せられているようだ。
【参照サイト】猫舌フーフー | ユカイ工学
03. 鳥も友達を作る。20年の研究で判明
アフリカのムクドリが、血のつながりを超えた「友情」のような協力関係を築くことが、20年間にわたる野外調査で明らかになった。
コロンビア大学の研究チームが『ネイチャー』誌で発表したレポートによると、このムクドリは7羽から60羽程度の血縁関係と非血縁関係が混在する群れで生活し、ヒナの世話や巣の防衛を協力して行うという。それが結果、群れを大きくし、全体の生存率を高めることにも繋がっているという。
動物の社会構造には、私たちが思う以上に複雑で心温まる関係が存在するのかもしれない。この発見は、自然界の新たな一面を教えてくれた。
【参照サイト】A cryptic role for reciprocal helping in a cooperatively breeding bird | Nature
04. 地方創生も美味しくなくちゃ。名産品を一斉に食べる会に過去最大人数が参加
5月25日、三重県熊野市でイベント「オール熊野フェスタ」が開かれた。地元名産の「めはり寿司」を大勢で一斉に食べる恒例企画に、過去最多となる660人が参加した。
ご飯を高菜漬けで包んだめはり寿司。「目を張るように口を開ける」「目を見張るほどに美味しい」などの由来があるこの郷土料理を、おもちゃの「目が飛び出た」めがねをかけた参加者たちが一斉に頬張る。地域を元気にするのは、こんなシンプルな「おいしさ」であり楽しさなのかもしれない。
【参照サイト】660人が名産品「めはり寿司」を一斉に“ぱくり” 三重・熊野市 | 中京テレビNEWS
05. 踊りながら入店するとなぜかバゲットがもらえるパン屋
フランス南西部のヴィック・アン・ビゴールの街にあるパン屋で、「踊るとバゲット1本無料」のキャンペーンが行われた。お店の前に看板が置かれ、ノリノリの音楽が流れているなか、次々と踊りながら入ってくる客。立場や老若男女に関係なく、みんな笑顔で自分なりの踊りを披露していた。
日常の何気ない「パンを選んで買う」という行動を、ちょっとした楽しいひとときにしたい。パン職人のセバスチャンによるアイデアだそうだ。
この投稿をInstagramで見る