【2025年4月】イルカの言葉を通訳できるAI登場?グッドニュース5選

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、イギリスで初めて女性医師の人数が男性医師を超えたニュースや、地域を活性化する「おじさんトレカ」などを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01. イルカの言語を理解する初の大規模言語モデル・DolphinGemmaが登場

きっと多くの人が、一度は「動物と会話ができたらな」なんて想像をしたことがあるだろう。そんな空想が、今や現実味を帯びつつあるという。その立役者は、やはりAIだ。

人間の言語を理解するために用いられてきた大規模言語モデルを、イルカの鳴き声やクリック音のようなエコーロケーションに応用することで、これまで手作業で分析されてきたイルカの言語をより速く解析できるようになったそうだ。デニス・ハージン博士率いるThe Wild Dolphin Projectが同研究を主導し、過去40年間収集してきたデータベースを使ってGoogle DeepMindの研究者と共にAIモデルを訓練した。

こうして開発されたのがDolphinGemmaだ。2025年半ばにはオープンソース化する予定だという。これにより、生き物たちの目線に立った野生動物の保護や自然保全に近づくことができるかもしれない。イルカ以外にも応用できる可能性があるとのことで、さらなる広がりが楽しみだ。

【参照サイト】How do you build an AI translator to understand dolphinspeak?

02. 商品の耐久性を伝える、IKEAの古い家具の宝探し企画「Hidden Tags」

スウェーデンの家具ブランド大手・IKEA。北欧風でカラフル、ポップなデザインのイメージもあるが、品質についてはどんな印象があるだろうか。「安かろう悪かろう」と、長持ちしない印象を持っている人も多いかもしれない。

そんなイメージを払拭しようと、ポルトガルのIKEAでは「家具の宝探しキャンペーン」を実施。自宅にあるIKEA商品の製造日が書かれたラベルを撮影・提出し、最も古いラベルの家具を見つけた人に16万円以上のギフト券が当たるというのだ。結果、4,500件以上の応募があり、最も古いものは1969年製造の木製テーブルだったという。

商品の品質を発信しようとする企画ではあるものの、家具が本来長く使えるものであること思い出させてくれる機会にもなっただろう。ものづくりにおいて商品の設計と使い方、両方が大切であるのだ。

【参照サイト】IKEA transforme ses étiquettes en chasse au trésor en quête du meuble le plus ancien
【参照サイト】IKEA Hidden Tags

03. 75歳以上のばあちゃんだけが働く喫茶店「ばあちゃん喫茶」が、福岡で開店

7年ほど前、期間限定で開店し話題になった「注文をまちがえる料理店」を覚えているだろうか。認知症のある方々だけが従業員として勤め、注文を間違えてしまうかもしれないことをポジティブに捉える姿勢が多くの支持を集めた。同様に、認知症のある人や介護を受けている人でも、役割があることでいきいきと暮らせることに注目した喫茶店が福岡県春日市にオープンした。

それが「ばあちゃん喫茶」だ。この店を運営するのは、高齢化社会で生きがいを生むことを目指し75歳以上のおばあちゃんたちが働く会社「うきはの宝株式会社」。今後ほかのまちでも開店し合計3店舗になる予定とのこと。喫茶は「『ばあちゃん喫茶』ときどきじいちゃん」と書かれており、じいちゃんたちの力も加わるようだ。店長は週替わりで、週替わりの手料理ランチが楽しめる。価格は税込950円とお手頃だ。

同社は「地域のばあちゃんたちを通じて先人たちの知恵や知見、経験や人生をお客さんの子ども、孫世代に伝えていきたい」としている。仕事と介護、学校などがそれぞれに独立している現代社会で、地域のばあちゃんたちが活躍する場所は、ほかの市民にとっても拠り所になるかもしれない。

【参照サイト】75歳以上のばあちゃんたちが働く喫茶店「ばあちゃん喫茶」が福岡県春日市にオープンしました!運営会社うきはの宝株式会社
【参照サイト】認知症や介護を受ける高齢者も活躍。75歳以上が働く喫茶店「ばあちゃん喫茶」開店

04. ハイネケンが「乾杯」という声を検出すると閉じるスマホを開発

気づけば手に握りしめているなんてことも多い、スマートフォン。便利な一面もある一方、会話の途中で無意識に開いてしまって気まずい時間になってしまった経験はないだろうか。これは「ファビング」と呼ばれ、人間関係を壊すことにもつながることが指摘されている。

そんなデジタル依存とも言える現象を改善しようと、ビールブランド・ハイネケンが特別なスマホケースを開発した。その名も、「The Flipper」だ。ケースに内蔵された人工知能が「乾杯!(Cheers!)」という声を認識すると、ケース背面にあるアームが飛び出してスマホ画面が見えないようひっくり返してしまう。

今回、スマホケースはプロトタイプであり一般に販売は予定されていないが、同社はウェブサイトで「Just flip yours by hand(自分の手でひっくり返せばいいだけ)」と記した。そう、そもそも食事のテーブルに置かない、もしくは通知が来ても見なければ良いだけのはずだ。それすらも難しい社会になりつつあることを、このスマホケースはユーモアたっぷりに訴えているとも言えようか。

【参照サイト】Heineken lance The Flipper : une coque qui retourne votre smartphone pour vous déconnecter

05. ホームレスの方々を招待し“無視されている声”を届ける英ラジオ番組

イギリス南西部のサマセットに暮らす人々は、毎月第3木曜、ラジオから愉快な笑い声や冗談を聞くことができる。しかしその声を発しているのは、地元の名物パーソナリティなどではない。ホームレス状態にある人々を支援するNGOのサービスマネージャー・ジェームスさんと、ホームレス状態を経験し支援を受けるクライアントたちだ。番組の1時間で、路上生活の経験も語りながら、主にそれぞれの物語や好きな音楽を共有している。

この取り組みは、当初、職業訓練の一環として始まった。自身について語ることに抵抗を感じる人もいたようだが、今では、おしゃべりを楽しんでいる人も多いという。家族がラジオで話す声を聞いて子どもたちが喜び、子どもたちの自尊心を育むことにもつながっているそうだ。

さらに、彼らの生の声を聞くことは、地域市民にとっても大きな意味があるだろう。たとえ面と向かって語り合うことがすぐにはできなくても、ラジオを介して現在の暮らしや心情を知ることで、地域社会の協調を生む土台ができてくるのではないだろうか。

【参照サイト】Radio show invites homeless people to be on-air presenters: ‘Voices that are often ignored’
【参照サイト】Helping homeless people ‘find a voice’ on radio

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