空気をキレイにする看板。米トヨタ「ミライ」のエコなプロモーション

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公共の交通機関とは違って、時間帯や距離に関わらず自分の思い通りに移動ができる自動車は、今や私たちの生活にとって不可欠なものである。しかしながらその便利さと引き換えに、自動車の排気ガスによる大気汚染という問題も生じている。

特にアメリカのカリフォルニア州ではその問題が顕著で、米国肺協会が毎年発表している「アメリカ国内大気汚染都市ランキング」によると、ランキング上位のほとんどをカリフォルニア州の都市が占めている。今回は、大気汚染問題が深刻なカリフォルニア州でトヨタUSAが実施した、同社の水素燃料電池車「ミライ」のエコなプロモーションを紹介する。

大量の排気ガスにより大気汚染の一因となっている通常の自動車とは異なり、水蒸気だけしか排出せず、環境に優しいこの次世代自動車「ミライ」をアピールするべくトヨタUSAが仕掛けたのは、「ミライ」の技術を用いたユニークな屋外看板広告だ。この看板広告、なんとそれ自体がまわりの空気をキレイにし、大気汚染を改善させる機能を持っているのだ。

トヨタUSAとクリア・チャンネル・アウトドア・アメリカズが共同で手がけるこのキャンペーンは、4月3日から5月28日までの約2ヶ月間に渡って実施される。ロサンゼルスとサンフランシスコに合計37個の看板が設置され、計440台の車が1ヶ月に排出する量に相当する二酸化窒素(NOx)を浄化することができるという。二酸化窒素は酸性雨やスモッグの主要成分だ。

この看板には二酸化チタンをコーティングしたビニールが使用されており、酸素が活性化した二酸化チタン触媒に反応すると空気中の二酸化窒素が硝酸塩に変換され、空気から除去される仕組みになっている。光によって活性化しスモッグを減らすこの看板は、光・湿度・気流・二酸化チタンが存在する限り、周囲の空気を浄化し続けられるのだ。

「トヨタはすべての事業において常に新しい環境技術を探し求めている。クリア・チャンネル・アウトドア・アメリカが私たちにこのキャンペーンを持ちかけてきたとき、私たちに完璧にマッチするものだと思った。」とトヨタモーターノースアメリカ社の先端テクノロジーゼネラルマネジャーであるMark Angelacos氏は語った。同氏は「この新しいキャンペーンは、メディアを通して、トヨタミライの『変化の車』というメッセージを伝えるものだ」とも述べた。

クリア・チャンネル・アウトドア・アメリカズの代表を務めるGene Leehan氏は「OOH(屋外広告)メディアキャンペーンのために、より環境に優しい技術を、トヨタのような環境に配慮した顧客に提供することができて嬉しい。」と述べた。また、同氏は「今回のキャンペーンは、アメリカにおいて初めてOOHでこの技術を使用しており、今後同じ考えを持つ他の広告主にも利用できるようにすることを楽しみにしている。」とも語っている。

今回紹介したキャンペーンでは、看板が本来持っている「広告」や「宣伝」としての役割を果たしているだけでなく、「看板そのものが空気を清浄する」という点において非常にユニークな試みだと言える。

また、実際に「ミライ」に用いられている技術と同じものを看板に用いることで「環境に優しい」という一貫したブランドイメージを消費者に強く与えている。Gene Leehan氏も述べているように、今後、最新の技術を応用して広告媒体そのものが「宣伝」以上の力を持つような試みが広がっていくことが期待される。

【参考サイト】Advertising That’s More Than ‘Hot Air’

(※写真提供:Advertising That’s More Than ‘Hot Air’