わたしたちが住む日本は、春になればあたたかい日差しがさしこみ、夏は蒸し暑く、秋は涼しく木々が色づき、冬には乾燥して凍りつく。そんな当たり前の四季の移りかわりを人々が享受しているあいだに、確実に気候変動は起こっている。
ある場所では干ばつによる水不足が起こり、またある場所では温暖化によって絶滅の危機にさらされる生態系がある。それでも気候変動の影響は地域によって異なるため、多くの人は日々の生活のなかで意識する機会がほとんどないのが現実だ。
各国が「パリ協定」による取り決めでそれぞれ気候変動への対策を掲げている。それなら個人でもなにか気候変動に対するアクションを起こしたいところだ。ここでは、今までIDEAS FOR GOODで取り上げてきた世界の気候変動に立ち向かうアイデアをピックアップし、知るところからわたしたちでも身近にできる行動までを順番に紹介していこう。
Step1:まずは小さな気付きから
01. 地球温暖化を体験するアプリ「After Ice」
ニューヨークで誕生した「After Ice」は、NASAの研究と2080年を想定したシミュレーション動画をベースに、地球温暖化を可視化できるスマートフォンアプリだ。ビジュアルアーティストが手がけるリアルなAR動画で、海面の上昇を感覚的に体験することができる。
02. 抗議と注意喚起のクラフトビール「Make Earth Great Again」
アメリカのパリ協定離脱を受けて、スコットランドのブルワリーBrewdogは抗議のためのクラフトビール「Make Earth Great Again」を発売した。ホッキョクグマのラベルや等身大のレプリカ、製造に使われる素材などあらゆるアプローチで気候変動を連想させるビールで、常にその影響を忘れてはいけないと人々に伝えている。
Step2:世界を変える行動につなげる
03. 大量のマングローブを植林できるドローンたち
異常気象や伐採によって森の生態系が荒れ果てたミャンマーで、ドローンによるマングローブの植林が始まった。汚染された水をろ過し、温暖化を引き起こす炭素を吸収してくれるマングローブの植林を、1日に10万本行えるドローンを活用して人の力では到底実現できないスピードで可能にしている。
04. メタンガスを食べるバクテリアで洋服を作る
アメリカのサンフランシスコ発のスタートアップ企業Mango Materialsは、温室効果ガスの原因となるメタンガスを食べるバクテリアを使用したポリマーの生成をしている。これを原料に作られた洋服は、捨てるときも微生物によって完全に分解されるため、生態系を壊すマイクロプラスチックごみ問題も同時に解決している。
Step3:私たちにもできる身近なことは
05. 報酬つきのブロックチェーン技術「CarbonX」
カナダで生まれた「CarbonX」は、企業がよりCO2排出量の少なく環境にやさしい商品を選ぶ消費者にたいして課金可能なトークン(暗号通貨)を発行する仕組みだ。消費者がすすんでCO2が少ない商品やサービスを購入するというポジティブな動機づけの方法である。
まとめ
ひとつひとつの行動自体は、地球環境にたいしたインパクトを残さないかもしれない。それは環境汚染でも環境保全でも一緒だ。しかし、ここで紹介したような事例が世界中で同時多発的に広まっていくとしたら、気候変動だけでなく大気汚染や異常気象などの問題も解決する兆しが見えてくる。
わたしたちの生活のためにすでに失われたものも多いが、諦めるにはまだ早い。地球をよくするため、そして次の世代が安心して暮らすためにも、まずは周りにアイデアを知らせることから始めてみてはいかがだろうか。