先の見えない介護は、介護者の心を疲れさせる。もちろん多くの介護者は、介護にきちんと関わりたいという想いを持っている。しかし終わりが決まったような決まらないような曖昧な日々のなか、くたびれたり苛立ったりすることは尽きない。日本が高齢化社会となった今、介護の負担を少しでも軽くするサービスは広く必要とされている。
今年6月にアマゾンが買収を発表したことで話題となった薬局PillPackは、患者が医者から処方された薬を服用する日時ごとに小分けにし、宅配するサービスを展開している。小分けにされた袋には1回分の薬がまとめて入っているため、数種類の薬を服用している患者は特に使いやすい。4,000万人のアメリカ人が毎日5種類以上の薬を服用しているというデータから、このサービスの需要の大きさがうかがえる。
PillPackのサービスはこれに留まらない。医者と連携を取りながら薬の補充も自動的におこない、医療費の申請など保険の管理もおこなってくれる。薬がなくなるたびに薬局に行かないといけない従来のシステムに比べ、効率的で時間の節約になる。また1回分ずつ小分けにすると聞くと薬剤師が大変そうだが、包装は機械がおこない、薬剤師の作業もなるべくシンプルになるように考えられている。
PillPackによると、従来の薬局のシステムは個別の薬ができるだけ効率的に患者の手元に届くように設計されているという。そのためほとんどの薬局は、複数の薬を服用する患者にとって使いやすいシステムになっていない。4種類の薬を服用する患者は、1種類の患者に比べて4倍の手間がかかるというわけだ。この課題に目を付けたPillPackは、よりシンプルかつ全体の処方状況が見渡しやすいシステムを構築した。
患者はチャット機能を使って、24時間365日、質問をすることも可能だ。
長期的に数種類の薬を服用するという状況は若い人にはあまりないことだが、それでも祖父母など高齢の人がそうしている様子を見たことのある人は多いと思う。自分で薬を管理できない場合、介護者が代わりにおこなうことになる。大きな荷物を抱えてしまったと心が寒くなったとき、少しでも労力を減らせればそれだけ優しい気持ちで介護に携われる。PillPackのような、介護者に余裕をもたらすサービスが今後も普及していくといいと思う。
【参照サイト】PillPack
【参照サイト】The pharmacy system that goes beyond the pharmacy.
(※画像提供:PillPack)