貧困とは、単に「食事にありつけない」という意味ではない。むしろ「食事以外のものにありつけない」と表現するほうがより正確だ。
ローマ教皇フランシスコは「株式相場が2%下落しただけでみんな大騒ぎするのに、目の前の貧困にはまるで無関心だ。これこそが、われわれ現代人が抱える病である」と発言した。「無関心」とは常に「愛」の反対にあるものだ。世界の大衆が目を向けなければ、どんな深刻な問題も改善されることはない。
この記事で挙げるのは、生理用品の問題である。長らく男性ばかりが国の執政を行ってきた中で、女性しか扱わない生理用品の供給問題は見過ごされてきた。いや、気付かれなかったと表現するべきかもしれない。
貧困の環境下で暮らしている女性は、生理用ナプキンすら買えない境遇であることも珍しくない。代わりに適当な布を使って生理を凌ぐが、当然ながらそのような布に保水性はない。使い終わる度たびに洗ってまた使用するから、衛生面でも大いに問題がある。結果、生理中は学校に行けなかったり、働けなかったりする。
そこで立ち上がったのが、日本の製紙大手である大王製紙と一般財団法人mudefである。SNSユーザーと協力し、ケニアのスラム街キベラの少女たちに生理用ナプキンを送るプロジェクト「ハートサポート2018」を開始した。
仕組みはこうだ。ツイッターやインスタグラムでユーザーが「#ハートサポート2018」というハッシュタグを投稿に貼る。投稿への「いいね!」の数だけケニアにナプキンが送られる。誰かの投稿に「いいね!」を付けてもいいし、自分で投稿してもいい。
このハートサポート2018プロジェクトの開催期間は、国際ガールズ・デーである10月11日から、12月19日まで。アフリカ諸国の中では堅実な経済発展を遂げているケニアだが、国内における貧富の差は非常に大きい。先進国の市民も驚愕するような大富豪がいる一方、たった1枚の生理用ナプキンにも事欠く少女が数百万単位で存在するのが現状だ。
そしてこれは、医療問題にもつながる。不衛生な代用ナプキンが原因で感染症にかかれば、アフリカのスラム街では手の打ちようがない。日本ならば病院に行って抗生物質を点滴すれば済むことだが、それが簡単にできるほど医療保険制度が整った国は世界では少数派だ。
世界の貧困問題を解決する第一歩は、われわれが「関心の目」を向けることである。ぜひプロジェクトに参加してみてはいかがだろうか。
【参照サイト】Heart Support 2018