旅人必見。ユネスコが提案する、持続可能な「ヨーロッパ世界遺産の旅」

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グローバル化が進んだ現代、旅はますます身近なものになってきた。海外旅行に出かける人の数は年間12億人にのぼる。一方、旅行者の増加に伴い、有名な観光名所には大挙して人が訪れ、地元の本来の文化や環境が損なわれてしまうという、新たな問題が生じている事実もあるのだ。そこで近年提唱されているのが、地域の経済、社会、環境への影響に十分配慮した「持続可能な観光」という概念である。

それに共鳴するユネスコはEUの協力のもと、世界遺産と持続可能な観光に焦点を当てたウェブプラットフォーム「ヨーロッパ世界遺産の旅(World Heritage Journeys Europe)」を発表した。

Image via UNESCO

ナショナルジオグラフィックと共同で製作されたこのプラットフォームでは、EU加盟国のうち19国にまたがる34の世界遺産を美しい写真と共に取り上げ、「古代ヨーロッパ」、「ロマンティック・ヨーロッパ」、「ロイヤル・ヨーロッパ」、「アンダーグラウンド・ヨーロッパ」の4つの行程を提案している。

たとえば、「古代ヨーロッパ」では、スペイン、タラゴナの遺跡群、フランスのポン・デュ・ガール水道橋、ギリシャのエピダウロス遺跡など8つの世界遺産を紹介。それぞれの世界遺産のページでは、遺跡そのものの解説のみならず、世界遺産のある地域の歴史や伝説、特産品の紹介、世界遺産周辺のその他のアトラクションやおすすめの過ごし方の提案など、多岐にわたる情報が提供されている。

それぞれの所在地を示す地図や、アクセス方法の記載もあり、実際に旅行の計画を立てるのに大いに役立つだろう。

このプラットフォームの特徴は、地元の人々の知識に基づいた情報を紹介し、その地域の本来の姿を体験できるように考えられているところにある。また、あまり知名度の高くない世界遺産にもスポットを当てることで、新たな発見を促すとともに、すでにたくさんの観光客であふれかえっている地域の負担を軽減させる狙いもあるという。

「私たちの目標は、人々の旅行の仕方を変えることです。目的地により長く滞在し、現地の文化や環境を体験し、そして世界遺産の価値に対するより深い知識と正しい理解を得てほしいのです。」ユネスコ世界遺産センター長Mechtild Rössler氏はこう述べている。

観光地で有名なバルセロナのサグラダファミリアは間違いなく素晴らしいが、電車で1時間ほどのタラゴナまで少し足を伸ばして、ゆったりとした時間を過ごしてみるのもまたかけがえのない体験になるだろう。今後の観光と地域のあり方は、私たち1人ひとりの選択にかかっている。

【参照サイト】World Heritage Journeys Europe
【参照サイト】 UNESCO launches new travel platform ‘World Heritage Journeys’ to promote sustainable tourism in the EU
【参照サイト】世界観光機関 責任ある旅行者になるためのヒント
(※画像提供:Chelsea London Phillips)

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