これまで、慈善事業への寄付を行おうと思えば、慈善団体の持つ募金箱に直接現金を入れるか、オンラインであってもクレジットカード情報等を入力しなくてはならないなど、手間がかかっていた。それが、テクノロジーの凄まじい発展によって変わろうとしている。
慈善団体は、規模が小さければ小さいほど人員が限られており、慢性的な資金不足に直面していることも少なくない。社会や支援対象の人々が必要とするサポートを十分に行うためには資金の調達が欠かせないが、特に小規模な慈善団体の場合は、プロジェクトへの共感・理解を得られたとしても支援へのアクセスがないことや、面倒なプロセス、資金の使い方が不透明であることが障害となる。
そこでテクノロジー大手グーグルは2018年12月、Google Playストアを通して人々が簡単に寄付できる機能を追加した。Android のスマートフォンを持っていればストアから自分が寄付したい団体を選んで有料アプリに課金する感覚で寄付ができ、Google Homeがあればスピーカーに話しかけるだけで団体や金額を選ぶこともできる。
Google Playでの寄付は迅速で、寄付金額の100%が直接慈善団体に届くという。寄付対象には、ユニセフ(国際連合児童基金)、国境なき医師団、アメリカ赤十字社、国際連合世界食糧計画など、よく知られる団体も含まれるそうだ。
グーグルはまた、慈善団体向けに無償で資金調達のためのさまざまなツールを提供するプログラム「Google for Nonprofits」も始めた。たとえばグーグル広告を使って寄付を募ったり、ボランティアを募ったりできるGoogle Ad Grantsや、Youtubeの動画内で視聴者が直接寄付できる寄付カード機能などだ。
これらのツールを活用した結果として、開発途上国の人々に安全な水を供給することを目的とした非営利団体Charity: Waterでは、1年間でウェブサイトのトラフィックが3.5倍になったという。また、貧困や危機的な状況下にある人々の救済を行うDirect Reliefは、より多くの支援者から寄付を受けられるようになった。オンラインの寄付件数が44%増え、金額の合計も40%ほど増えた。
Google Playを筆頭とした、寄付をする側にとっても、される側にとっても便利なグーグルのツール。1タップで寄付できる利便性は計り知れない。テクノロジーの力を、世のため人のために存分に活用している例と言える。
【参照サイト】Give back with charitable donations on Google Play
【参照サイト】Google 寄付ツールによる資金集めの新しい形