フィンランドがベーシックインカムの調査結果を発表。雇用状況は変わらずも、幸福度に変化

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フィンランドは2017年1月から2018年12月までの2年間、ベーシックインカムの試験運用を行った。この試験運用は、無作為抽出した2,000人の失業者に対し、他の収入源があるかどうかや積極的に仕事を探しているかどうかに関わらず、毎月560ユーロ(約71,000円)を支払うというものだ。

そして今年の2月8日、フィンランド社会保険庁KELAが、本プロジェクトの2017年分の調査結果を発表した。2018年分については、2020年に発表される予定だ。

ユーロ紙幣

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まずベーシックインカムの受給者の雇用状況に関して、1年目のデータを見る限りでは、ベーシックインカムを受給していないグループと大きな差は見られなかった。ベーシックインカムを受給したグループの勤務日数は平均で年間49.64日、受給していないグループは平均49.25日で、受給したグループが0.5日多く雇用される結果となった。

自営業で収入を得た人の割合を比べると、ベーシックインカムを受給したグループが43.70%、受給していないグループが42.85%となり、受給したグループが約1%高かった。また自営業で得た収入額を比較すると、ベーシックインカムを受給したグループが平均で4,230ユーロ、受給していないグループが4,251ユーロとなり、受給したグループが21ユーロ(約2,600円)低かった。

現実を緻密に調査したうえでの結果なので、ベーシックインカムを導入したことで雇用状況が一気に改善、という圧巻の結末が待っているわけではない。しかし「ベーシックインカムを導入すると人々の勤労意欲がなくなるのでは」と不安視する声があるなか、今回の結果では良くも悪くも人がすぐには変わらないことが示されている。

家族

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また今回の実験では、ベーシックインカムを受給した人の幸福度についても調査が行われた。「健康状態が良い」もしくは「とても良い」と回答した人の割合は、ベーシックインカムを受給したグループで55%、受給していないグループで46%だった。「かなり強いストレスを感じたことがある」と回答した人の割合は、ベーシックインカムを受給したグループで17%、受給していないグループで25%だった。

さらにベーシックインカムを受給した人たちのほうが、受給していない人たちと比べて仕事を見つけることに自信を持っており、「仕事を引き受けたり事業を立ち上げたりしやすくなった」という意見を述べることが多かった。

データが示す結果と本人たちの実感は乖離しているが、KELAの研究主任を務めるMinna Ylikännö氏は「ベーシックインカムは、短期的には雇用見通しを改善しませんが、受給者の幸福度には良い影響を及ぼすのかもしれません」と、この結果は互いに矛盾しないと話す。いずれにせよ今回示されたのは暫定的な結果であり、ベーシックインカムの影響について確固たる結論を導くことはできないという。

暫定的ではあるが、「幸福とは何か」について考えさせられる結果だった。その人が世界をどう見るかによって、実際に世界は決まるのだろう。その視座を調整することが、非常に難しいことなのだけれど。

【参照サイト】 Preliminary results of the basic income experiment: self-perceived wellbeing improved, during the first year no effects on employment
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