UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、2017年末時点で紛争や迫害、気候変化等の理由から住んでいた土地を追われた人々は6,850万人に及び、その数は年々増加しているという。第二次世界大戦以降、最悪の人道危機と言われる難民問題に対して、世界中のNPOや企業がさまざまな取り組みを行っている。
大手民泊プラットホームAirbnbもそのうちの一つだ。難民や被災者など安定した住居を得られない人々を対象に、Airbnbの住居を緊急避難先や一時滞在先として無償提供する取り組み「Open Homes Program」を2012年から続けており、今まで2万5,000人以上の難民や被災者が利用したという。しかし、困っている人を助けたいと思うホストも、いつでも住居を提供できるわけではない。
そこでAirbnbは、ホストが得る収益の一部を、一時避難先提供のために活動するNPOに寄付できる新機能「Airbnb Donations」を発表した。現時点では、米国の物件のみに適応される。
ホストはAirbnbで得られた収益から毎回自動的に何パーセントを寄付するかを設定するだけで、NPOに寄付することができ、その後どのように寄付が役立てられているかのお知らせを定期的に受け取ることができる。寄付をするハードルが低く、お金の流れもわかりやすい。
寄付先のNPOには、たとえば戦争から逃れてきた難民が米国で生活を再建するまで住宅、教育を提供するInternational Rescue Committeeや、自然災害の被災地住民のニーズに対応し活動する支援団体All Hands and Heartsなどが挙げられる。
また、世界191カ国で600万件以上の宿泊先を提供する大手民泊プラットホームサービスが運営するAirbnb Donationsは高いポテンシャルを秘めている。仮に米国内のホスト全員が収益の1%を寄付すると、困っている200万人がNPOを通じた支援を受けられるそう。
Airbnbは「2022年までに住む場所を失った10万人に一時避難先を提供する」という目標を掲げ、今年だけでも2,000万ドルを超える投資や助成を行ってきた。部屋を貸し借りすることサービスを通じて、人々が出会い交流するコミュニティづくりを大切にしてきたAirbnbだからこそ、コミュニティを失った難民や被災者の支援に力を入れているのだろう。
今回、新たな寄付という選択肢が増えたことで、改めて多くの人が自分にできることは何かと考えるきっかけが生まれた。米国だけでなく、全世界で寄付の輪が広がることを期待したい。
【参照サイト】Airbnb Launches Donations Feature to Support Communities in Times of Need
【参照サイト】UNHCR – Figures at a Glance
(※写真提供:Airbnb)