アート=自己表現、で終わらない。作品でウクライナを支援する3人の立役者

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ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続くなか、ウクライナの人々を支援する動きが、世界中で広がっている。

在日ウクライナ大使館は3月7日、ツイッターで、同大使館が開設した特別銀行口座に40億円近い寄付金が集まったと報告した。日本にいる約15万人から、寄付が集まったという。

そんななか、世界では、ウクライナのために何ができるか考え、行動を起こしているアーティストたちがいる。

彼らはオンラインで、ロシアとウクライナの状況へのメッセージを内包した作品を発表しつつ、ウクライナの人々を支援するための情報を共有したり、寄付につなげたりしている。

以下、そのような活動をしているアーティストを紹介する。

オラファー・エリアソン

アイスランド系デンマーク人で、2022年現在はベルリンを拠点に活動。2020年に、東京都現代美術館で展覧会を開催した。サステナビリティへの関心が高いアーティストとして知られ、同展では、気候変動や再生可能エネルギーなどをテーマとして扱った。

同氏は自身のインスタグラムに、ウクライナ国旗の色で塗られたコンパスのような作品を投稿。同時に、プロフィール欄のリンク先のページに、ウクライナへの人道支援を行っている団体の一覧を載せたと発信した。寄付などの支援をしたい人に、一覧を見てほしいと呼びかけている。

一覧には、UNHCR、UNICEF、CAREなど国際的に活動する団体の他に、ウクライナからベルリンに来た難民を支援する、現地の団体の情報も記載。宿泊場所を提供するSleepingplace Orga、Unterkunft-Ukraine、Shelter in Berlinなどを紹介している。

同氏が活動の拠点にしている、ベルリンでの取り組みを支援したいという想いを持っているようだ。

アダム・ナサニエル・ファーマン

アルゼンチンと日本の血を引く、イギリス人アーティスト。ロンドンを拠点に活動。インテリアや建築など空間デザインに関わる活動をしたり、マグカップやクッションなどのプロダクトを制作したりしている。

同氏は自身のインスタグラムに、ウクライナのハリコフにある「Derzhprom」という建築物のイラストを投稿。Derzhpromは、1920年代後半に建てられた建築物で、ソビエト連邦で栄えた構成主義という建築スタイルを取り入れている。

Derzhpromのイラストは、青色か黄色のマグカップ、額付もしくは額なしのアートプリント、マウスパッドに印刷して販売し、その利益は全て、Ukraine Humanitarian Appeal(ウクライナ人道支援)に寄付するという。

ウクライナの歴史的建築物に敬意を表しつつ、自身が作るプロダクトと組み合わせ、ウクライナの人々の支援につなげている。

クリスタ・キム

メタバースで活動するデジタルアーティスト。2021年には、世界初のデジタルNFT住宅こと「マーズハウス」を売却した。

同氏は自身のインスタグラムで、「No. 700 v.26」というNFTを販売して得られる利益を全て、ウクライナ政府のイーサリアムウォレットに送ると発表。No. 700 v.26は、イーサリアム上のNFTマーケットプレイス「SuperRare」で販売される。

同氏は、SuperRareのNo. 700 v.26のページに、「私はメタバースで、崇高な体験を作りたい。瞑想とマインドフルネスのための空間を作りたい」というコメントを載せている。現実世界の平和を願う気持ちや、戦争の報道に疲れた人を癒したいという気持ちが込められているのかもしれない。

いかがだろうか。各人とも、自身のアート活動との一貫性を保ちつつ、ウクライナ危機に反応している様子が印象的だ。支援の仕方は多様なのだと、気づかされる。

もしあなたが、「アートの力で、世界の平和に貢献したい」「自分は作品は作れないが、鑑賞して、他の人と感想などを話し合いたい」と思っているのであれば、「Creatives for Ukraine」という、ロシアのウクライナへの軍事侵攻について表現するアート作品を無料でダウンロードできるサイトを使ってみるといいかもしれない。世界中の人が、同サイトにイラストなどを投稿している。

サイトの作品は、非営利目的かつ、この侵攻に言及する目的のためにのみ、利用することができる。花、鳩、ハート、空などをモチーフにした穏やかな作品が多く、SNSで戦争について意見交換するときなどに、明るさを添えてくれそうだ。

遠い国の出来事を想像するのは難しいが、こういったアート作品が意外と、現実を素直に捉えるのに役立つかもしれない。

【参照サイト】Creatives For Ukraine

【追記:2022/3/24】投稿当時、現在のウクライナ危機を英語の表現に則って「紛争/戦争」と表現しておりましたが、現状の事実のみを鑑みて「2022年のロシアのウクライナへの軍事侵攻」と表記し直しました。訂正し、お詫び申し上げます。

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